NTT東日本さまにデール・カーネギー・コースを導入いただきました
企業プロフィール
NTT東日本さまでは、社会に出る前の学生に、自社のオリジナルツールとソリューションを使い、社会課題を解決していく挑戦ができる「つなげてうみだすインターン」を提供しています。
今回は、インターンシップ期間中、学生のアドバイザーとしてプロジェクトに参加する先輩社員(セクレタリーズ:社内副業として稼働の20%で活動)を対象とした、ヒューマンスキルを磨く研修として、デール・カーネギー・コースをご採用いただきました。
お話を聞いた方:
伊藤 信吾(いとう しんご)さま
総務人事部。社内の海外MBA留学準備期間中にインターン事務局を務めた。
現在、米国に留学中。
小野寺 惟文(おのでら ともふみ)さま
総務人事部 人事第二部門 採用人事担当、現インターン事務局長
治田 朋実(はるた ともみ)さま
ビジネスイノベーション本部 SE
全員のヒューマンスキルに磨きをかける
NTT東日本 伊藤さま、小野寺さま、治田さま(以下敬称略)
----------受講の背景、どうしてデール・カーネギーに決めたのかを教えてください。
伊藤:インターンの活動を1年やってみて課題と感じたのが、学生とコミュニケーションを取るスキルに、各個人に多少なりともばらつきがあったということです。それは技術的なことではなく、人間性、ヒューマンスキルの部分だと感じていました。やっぱり人を惹きつける能力であったり、人前で話す能力であったり、この人みたいになりたいと思うスキルだったり、そういう概念的な部分を全体的に底上げしていかないといけない、そこが課題だと感じたんです。
----------そのスキルを持っている人とスキルが足りない人がいたのですね?
伊藤:はい、全員がそのスキルを多かれ少なかれ磨いていかないといけないと思いました。今日ここにいる治田さんは学生と接触するのが上手で、学生と友達になること、懐に入っていくことがとても上手な社員なんです。一方で、SEとしてのスキルはとても高いのですが、学生と上手にコミュニケーションがとれなくて、結果的にNTT東日本の良さが学生に伝わりきらずにインターン期間が終了してしまう、というケースが見受けられたこともあります。そこで、何が最終的に必要かと考えたときに、やはりそういう概念的な部分だという結論になり、そこを磨くには自分の殻を破ると言いますか、自分にプライドを持っていてはだめだと思ったのです。もちろん仕事に対してのプライドは必要なのですが、学生と話すときも、学生に対してバカができるくらい自分に余裕を持ったり、学生を惹きつける魅力をなんとか身につける必要があると思ったのです。そういうことが身につく研修を、インターネットで検索しました。そうやって4~5社の研修会社を探し当てました。
----------他の企業さんはいかがだったのでしょう?
伊藤:日系の研修会社は型にはまった座学が多いイメージが強く、「こういう風にしたらリーダーシップが発揮できます」とか、あとは実例を挙げる授業みたいになっていて、例えば、有名企業の社長はなぜカリスマ性があるのかを聞く、というような研修が多いと思うのです。でも、そんな話をきいても実際に自分に当てはめられないですよね。なので、そういう高いところを見るのではなくて、身の丈にあった研修に着眼したんです。そこで、デール・カーネギーのサイトを見たところ、ひとりひとりのレベルにあった状況で殻を破っていく、それはテキストベースではなく実体験ベースでやっていけそうだと思い、その時点では半信半疑ながら、仲澤さん(デール・カーネギー・東京のコンサルタント)に相談したんです。そして「座学なんてほぼないです、基本的に体動かしてやっていきます」と研修の内容を色々聞いているうちに、ひとりの人間が思い浮かび、彼を変えられる研修だと思ったんです。その彼は、とてもやさしいし、学生とも結構仲良くなれるのですが、ちょっとぶっきらぼうなんです。そういう彼が、学生と一緒にバカをやれるようになったら、きっととても良いだろうなと。彼みたいなタイプを変えられる研修だとはっきりイメージできたのが、決定打となりました。研修の費用など関係なく、ちゃんとセクレタリーズの皆さんに意味のある研修を伝えられたらいいなと思ったのです。
----------実際に受講された方の思いをお聞かせください。デール・カーネギーはご存知でしたか?
小野寺:デール・カーネギーという名前は知っていました。ちょうど次に読もうとしていた本が「人を動かす」だったので、研修でデール・カーネギーに触れることができたのは、僕にとってはタイミングとしてもよかったです。
----------弊社のトレーニングは基本的に座学がなく、色々なアクティビティがあるということは受講前にご存知でしたか?
小野寺:いいえ。デール・カーネギーと言ったら「人を動かす」だと思っていたので、ステップ論で「人を動かす」のはこういうことですよと教えてもらえるような研修だと思っていました。ですので、初日は正直、面くらいました。
治田:私も研修内容などまったく知らなかったので、初日にびっくりしたのは一緒です。
----------受講される方に研修内容を説明しなかったのは、意図的ですか?
伊藤:はい、一切しませんでした。なぜなら、構えてもらってはいやだなと思ったのと、その場でどう対応するかというスキルを身につけてほしいとも思ったのです。そして、研修の内容を伝えることによって、研修を拒否する者が出てくるだろうと思ったのです。「そういう恥ずかしいことはやりたくない」と言う人が出てきそうだったので、あえて何も言わずに「リーダーシップ・コーチング・スキルを鍛えるための研修です」とだけ伝えてみんなを呼び出しました。実際、僕も25歳くらいの時だったら、嫌だって絶対に拒否したと思います(笑)。そのくらいの年齢、段階だと、テック系スキルの方に興味があったり、人を惹きつけるなんてどうでもいいと思っている人も多いと思うんですけど、チームの先頭に立つ立場になってくると、こういう部分の大切さがわかってくるんです。でもそれを僕が熱く語っても伝わらないと思ったので、論より証拠だなということで、送りこみました。中には理解できなかった人もいると思います。若い人も多くいるので、一人でも多くの人が理解できればいいなというぐらいの若干ギャンブル的なところもありました。
----------受講内容は知らされていなかったとのことですが、受講目的を持っての参加でしたか?
小野寺:僕はまさに「人を動かす」に興味がありました。というのも、7月1日から人事異動で採用担当として初めてセクレタリーズという大所帯を率いて、否が応でも自分がプロジェクトマネージャーにならなくてはいけないという立場になり、しかも、メンバーが四六時中一緒にいる人たちではないので、まさにこれから関係を深めていかなければならない状況でした。彼らの先頭に立って、彼らの長所をいかしながら、優秀な学生を採用しなければならないというゴールがある中で、僕がどうやってリーダーシップを発揮していけばいいのだろう、どうやって彼らを惹きつけていったらいいのだろうというのが、僕の課題だったし、悩みだったんです。そういうところにうまく当てはまるような研修であれば自分の役に立つのではないか、自分の課題解決につながるのではないか、そういう目標を持って臨みました。
----------今までリーダーシップ研修を受けた経験はありましたか?
小野寺:これといって印象に残るようなものも覚えていません。自分の魅力を高めてとか、相手に対する接し方を変えることでリーダーシップを発揮するといった研修は今まで受けたことがありませんでした。
----------では、初めてのリーダーシップ研修がこんなに大変だったなんて、びっくりしましたよね?!
小野寺:人と信頼関係築くとか、リーダーシップを発揮するというのは、先ほど伊藤さんも言っていましたが、論より証拠だなと思っていて、ステップ論を学んで本に書いてあることをイチから実践しても、人は多分自分を信頼してくれないと思うのです。ちょっと本題からずれるかもしれませんが、3日間みんなで体を動かして、同じ時間とか空間とか動きを共有したことで、相手の人となりも分かりましたし、お互いの信頼関係、人間関係が深まったという意味では、実際やった方が早いんだなということに気づきました。
----------弊社の研修は、本を読んで頭で分かったつもりになっているのではなく、ちゃんと身につけるには体を動かして実践することによって初めてそれが自分に定着するということを知ってもらうということをモットーにしているのですが、そういったところは感じていただけましたか?
小野寺:はい、そういう意図でしたら、完璧な結果が出ていると思います。
----------ありがとうございます。受講後、考え方が変わった、行動が変わったということがあったら教えてください。
小野寺:研修を受けてからまだあまり日にちが経っていないので、実際の自分のキャリアで、こう活用してこういう結果が出ましたみたいなものはまだありませんが、実際、その研修の中では一週間ごとにこういう目標を立てて、これをやって来てくださいねという課題があったのですが、私は人事異動で着任をしたばかりで、係長クラスの人、先輩社員、課長など、新しく接するようになった人たちと、人間関係をどうやって詰めて行ったらいいんだろう、どうやって信頼関係を築いたらいいんだろうと思い、そういうところでは、デール・カーネギーのゴールデンブックに書いてあることを一個ずつ試しに使ってみたりしてはいます。また、学生に対しても、これからどんどん実践して行きたいなと思っていて、彼らと信頼関係をこの先どれぐらいのスパンで築けるか分かりませんが、チャレンジしてみたいと思います。
デール・カーネギーの原則「まずほめる」
----------ゴールデンブックの中の原則を実際に使って、何か成功事例などありますか?
小野寺:「まずほめる」という原則なんですが、例えば、会社での打ち合わせはかなり効率よくやらなきゃみたいなところがあって、「まず結論から言え」だとか、もし課題があればまず課題を言うといった形だったのですが、「ありがとう」とか「ここがいいね」みたいなところに着眼してみるということは、すごく大事なことだと思いました。自分の立場に置き換えた時に「ありがとう」とか、「ここがいいね」って言われると、やっぱりその相手の助言も聞いてみようという気になります。プロジェクトリーダーとかプロジェクトマネージャーという今の自分の立場で考えると、アイディアなどを見せてもらって、コメントするときに、いきなり課題とか、「いや、こここうした方がいいよ」と言ってもみんなのモチベーションは上がらないと思うんです。「まずほめる」は使いやすいというか、即効性のあるツール、原則だと思います。
----------では、小野寺さんがこの研修を受けていなくて、「まずほめる」という原則を知らなかったら、どうなっていたでしょう?
小野寺:苦労していたと思います。僕の前職はSEだったので、時間や人数が限られていて、メンバーとも毎日接していたんです。そうすると、いきなり課題を指摘して「これこうだよね」と言っても、相手も時間がないし、日々一緒に居るから、だいたい自分たちの波長や仕事のやり方もわかっていて、すぐ納得してくれたんです。一方7月以降のこの採用担当で、しかもセクレタリーズ(SEインターンシップを運営するチームメンバーの通称)の皆さんとはいつも一緒にいるわけではなく、社内副業で来て貰っていて、稼働の20%でやってもらっているので、一週間に一回とか会えればいい方なんですが、そういう人に対していきなり課題とか、「これってこうだよね」みたいなことを言うっていうのは、モチベーションが上がらないんじゃないかなと思っているので、もし受講していなかったらそういう苦労をしていたと思います。
----------小野寺さん、ありがとうございます。
自分に自信をつけて、リーダーシップを発揮する
----------治田さんはいかがでしたか?この研修を受けるにあたっての目標や、やりたいことなどありましたか?
治田:私は学生と仲良くなることは得意だったのですが、学生を引っ張っていって、あこがれの社員と思ってもらうことや、リーダー的な存在になるということには苦手意識があったので、この研修では、自分に自信をつけて、リーダーシップを発揮できるような人になりたいなと思って挑みました。
----------でもやらされたことはきっと想像と違いましたよね?
治田:違いました(笑)もっと固い感じで始まるのかと思いました。でも私は座学でゴリゴリ勉強するよりも、今回のような形の方が身につけやすいと思ったので、とても有意義な研修でした。
----------大変だったと思いますが、挑戦や、難しかったことはありましたか?
治田:私は1対1で話すことは得意なのですが、人前で話すことが苦手で、今までもなるべく避けてきました。しかし今回、みんなの前で即座に自分の考えを発表しなければならない場面が多々あり、そこは挑戦というか、自分の中で殻を破れた機会だったと思います。
----------3日間という短い研修期間でしたが、その中でも自分が変われたとか、スイッチが切り替わった瞬間、きっかけになったアクティビティなどはありましたか?
治田:元々人前で話すことに苦手意識があったところ、さらに手などを使ってオーバーアクションで話さなければならない場面が多々あり、それが最初は恥ずかしく、うまく相手に伝わるか不安を感じながらも、自分たちで考えて実践しなければならなかったところがつらかったです。しかし最後の方は、何の抵抗もなく発表できるようになったので、そこは自分でも変われた部分だと思います。
----------どうやって、恥ずかしさや嫌だという気持ちをどうやって克服していったのですか?
治田:クラスのみんなが見守ってくれているという安心感と、講師がたくさんほめてくれたことによってそれが自信につながりました。クラスの環境が良かったです。
伊藤:参加者目線で僕自身感じたことが、「ばかになる」ことを忘れていたということなんです。僕がこの1年間リーダーシップをとっていた間は、司令塔といいますか、この人がいるからついていこう、この人がいるから大丈夫だと、みんなに思わせることが大事だったんです。「俺が戦うよ、あとは楽しんでくれていいから」と、リーダーシップの仮面をつけて、弱いところを一切見せないようにしていたんです。それをやり続けていると、仮面だと思っていたものが本物の自分だと思ってきてしまっていて、ばかをやったらこの仮面が崩れちゃうんじゃないかという感情になったこともあったんです。カリスマ性を持っている自分じゃないとだめなんじゃないかと思うようになってしまっていたんです。一方、やろうと思えば僕はいくらでも「ばかになる」ことができると思っていたんです。でもやっぱり、研修の中で「ばかになる」ときに恥ずかしいと思ったんです。初日のオーバーリアクションで自己紹介するときなんて「えー、恥ずかしい!」って思ったんです。だから、みんな恥ずかしいはずだけれど、これは絶対やった方がいいなと思ったんです。きっと一枚皮が剥けますので(笑)
----------「ばかになる」経験をしてどうでしたか?
伊藤:セクレタリーズの前では自分の失敗談を話したことはありませんでした。なぜなら、カリスマ性のあるリーダーシップのある人間でいなければならなかったので、そんなことで失敗する人間の下にいたくないと思われるのが嫌だったのでしょう。最近はその重責から解放されたこともあり、ありのままの自分で話せるようになりました。「この人やっぱりばかなんだなー」って思ってもらえたら僕はそれで満足ですね。人と話をするとき、僕の自慢話を聞きたい人はいないと思うのですが、僕が失敗した話や、ばかになった話は喜んで聞いてもらえるのです。例えば、アスブレイクで自分の失敗談を言うようになって、その頻度が増えました。
小野寺:今までも言ったことがありますが、僕が入社してはじめてこういう社員になりたいと思ったのが、伊藤さんだったんです。伊藤さんの中で「羞恥心を捨てる」ということが芽生えたら、なおさら“あこがれの社員No. 1”の地位は揺るがないと思います(笑)。
治田:私も伊藤さんが「この研修絶対いいから!」って言ってくれていなかったら、受けていなかったです。伊藤さんだから、信じて受けてみようと思いました。
----------それはまさに、伊藤さんがみなさんとラポール(心の橋)をしっかり築けていたということですね。
伊藤:そこがまさに、僕が去年、真剣に取り組んだところですね。デール・カーネギーの研修を受ける前に、自分なりにリーダーシップについて考え、自分と向き合ってみたんです。どうしたらみんながついてきてくれるか。それは、部下とか後輩とか、そういう関係ではなくて、この人とだったら仕事をしてみたい、この人とだったら絶対成果が上がる、この人とだったらおもしろくなるだろうといった世界観をどうしたらできるかというのが、去年僕のテーマだったんです。そこだけにこだわって、良い仕事ができたかはわからないですが、みなさんから「楽しかった」とか「頼りになった」って言ってもらえたら、うまくPDCAが回って良い結果が出ているんだと思います。
か
----------伊藤さんは、今までリーダーシップ研修は受けたことがあったのですか?
伊藤:研修は受けたことはありませんでした。でも本はよく読むので、いろんな人の体験談、失敗談を読んで自分に置き換えられるもの、まねできるところ、似てるなという人を探して、その人のまねごと、あとは自分のまわりでリーダーシップを発揮している人がどういう風に人を惹きつけていたのかというところを参考にして実行しました。
----------伊藤さんから見て、小野寺さん、治田さんは、信頼関係を築くことに関して何か変化はありましたか?
伊藤:僕から見ると、ふたりとも信頼されている人、信頼されることが得意な人だと思うんです。この研修で、その部分が輪をかけてよくなったと思います。ふたりともタイプがまったく違う人で、治田さんは母性に溢れた人で、すごくみんなにやさしくできるんです。相互コミュニケーションですぐ人の懐に入っていける。でも「20分人前でプレゼンしなさい」というのは苦手だったと思うんです。そして、小野寺さんは逆で、人前で話してっていったら彼はやれるんです。でも「もうちょっと人の懐に入っていくこともできるんじゃない?」って思ってました。そういう苦手だった部分が、研修を受けることによって埋まったと僕は思います。
----------治田さん、今から20分お話してくださいと頼まれたらどうしますか?
治田:絶対断ります(笑)。実はこういうインタビューも苦手で、今まで避けて通ってきていたんですけど、今回この研修を受けて、こういうことにも挑戦しようと思えるようになったんです。だから快く引き受けさせてもらいましたし、今、自分、結構しゃべれてるなって思います(笑)。
----------インタビューに、とても慣れているように見えます。
治田:そうやって認めてもらえるとさらに自信がつくのでうれしいです。今まで、やらないで苦手と思っていた部分があったんです。なるべく嫌なことはやらないで、自分の得意なことだけ取り組んでいたという部分があったのですが、今回の研修では、自分の得意な部分も苦手な部分も両方挑戦する場がありました。だから、得意な部分はさらに磨きをかけることができて、苦手な部分は挑戦することによってちょっとずつ克服することができたので、私にはこの研修がとても合っていたと思います。
----------得意なこと、苦手なこと、両方に取り組めたのがよかったのですね。
治田:プログラムの全部が嫌なこと、苦手なことを克服するためのことを詰め込まれたら、途中で逃げ出したくなるし「明日休もう」って思ったと思います。
----------そうですよね、今日も20分話してください、明日も20分話してくださいって言われたら、いやですよね。
治田:はい、いやですね(笑)。
----------でも今ならチャレンジできるんじゃないですか?
治田:そうですね、1回くらいなら。まずは10分くらいから(笑)。
----------その、気持ちが変わるというエモーショナル・チェンジの部分を弊社でもとても大事にしているんですが、それはいつ起こりました?研修初日に起こりました?それとも時間がかかりましたか?
治田:実は初日、失敗してしまって落ち込んだんです。クラスでは初めて会う人も多く、その中でも私は結構先輩の立場で、後輩が多い中で、自分を良くみせなければいけないと、初日は思っていたんです。その中での失敗で、本当に落ち込んでいたんですけれど、今回の研修は、そこからの成長と言いますか、まわりのみんながその部分をほめてくれて、逆に初日に失敗してよかったなと、あとでとても思いました。
----------そうやって自分を振り返ることができる治田さんは、本当に素晴らしいと思います。
アウトプットで自分が変わることができる研修
----------小野寺さんは、研修の中で、忘れられないアクティビティなどはありますか?
小野寺:後半でやったので印象に残っているのかもしれませんが、「相手をほめる」という時間があったのですが、普段そういうことは会社でやらないんですよね。「あなたのここが良いです。なぜなら、あなたはこうでこうだからです。」という時間は会社にいるとほとんどないんです。上司から業績評価のフィードバックをもらうことはあっても、同僚同士とか、先輩社員、後輩社員から言われることはないですし、だから、それがすごく新鮮でした。こういうことは、普段からやったらいいんじゃないかなと思いました。日本とアメリカの比較の話なんですが、日本とアメリカの野球の違いについて聞いたことがあって、日本のプロ野球の指導者は、まず弱点を直させる、アメリカの大リーグのコーチは、長所をほめてのばす、そういう違いがあるという話をきいたことがあって、日本の会社もそういうスタイルに似ているのかなと思っていたんです。今まで、上司以外からのフィードバックは、課題を言われることが多かったんです。ですので、そういうほめるカルチャーを体験できたのは、僕たちにとってもプラスでしたし、少なくとも、僕がプロジェクトをマネージしている組織では、このカルチャーを定着させていきたいなと思います。
----------治田さんはいかがでしたか?
治田:私も「ほめる」が印象的でした。今回研修中にほめてくれた人たちは、以前から知っている人と、今回仲良くなった人がいて、以前から知っている人は、私が明るいですとか、自分でも知っている長所をさらに言ってくれたのですが、今回の研修で出会った人たちのほめ方は、成長とか努力とか、自分に自信がない部分をほめてくれて、そこで、この研修で得られたものを再認識できたので、最後に「ほめる」があってよかったと思います。
伊藤:今回、研修の内容を確認するために、仲澤さんからもらった提案書に「ほめる」という内容が書いてあったんです。学生をほめられない社員であってはいけないので、これは絶対に大事だなって思ったんです。まだ社会人経験のない仕事をしたこともない学生に、マウントをとるなんてことをしてもらいたくないですし、学生ひとりひとりに敬意を払って接していかないと、信頼関係も築けないと思います。なので、ここが、今回の研修内容で惹かれた部分でもあります。
----------小野寺さんも治田さんも、とても感じがよいので、もともとほめるのは上手だったのではないでしょうか?研修を受けて、さらに変わった、変えられることができた部分はありますか?
治田:今まで学生にはそれこそちゃんとエビデンス(証拠)を示してほめていたのですが、会社の後輩に対しては、ほめることはするのですが、そこまで時間を割いてフィードバック的な形でほめることはなかったんです。でも今回、研修の中で、私はフィードバック的なほめ方をしてもらってうれしかったので、後輩にもそういうほめかたをしてみたんです。そうしたら、そこから話が広がったり、仕事もしやすい関係になったので、とてもよかったです。
----------小野寺さんは、研修を受けたあとの「ほめる」に変化はありましたか?
小野寺:はい、僕は今まで「ここがこうだったからいいね」っていうほめ方をしてこなかったんです。ほめ方が抽象的だったんです。これからは、「こういう場面のこういうふるまいがよかった」とかそういう具体的なほめ方をしたいと思います。夏のインターンがこれから始まるので、そういう使い方をしていきたいと思って、マインドチェンジを今しているところです。
----------それでは、まだデール・カーネギーを知らない人や、これからデール・カーネギーの研修を受けようか躊躇している方に、おすすめポイントなどのメッセージをいただけますか?
治田:私は受講するときは、伊藤さんが言うならと、伊藤さんを信じて安心してクラスに行ったのですが、初日は正直戸惑いました。でも行ったからには最後までやり遂げると思って3日目までやり抜いたんです。やり抜いたあとには気づくことがきっとあると思うので、何があっても最後までやってみる、一歩踏み出してみると良いと思います。
小野寺:まずは騙されたと思って(笑)受講してみてほしいです。僕も完全に切り替わったのは2日目の終わりか3日目の初めでした。それまでは、恥ずかしかったし、初日が終わったあとは、2日目行きたくないなと正直思ったんです。でも3日目に「出てよかったな」と思ったんです。来年新規でセクレタリーズに入ってくる人たちにも勧めたいという気持ちになれたんです。それは、自分の殻を破るのはこんなに大変だったんだという気づきと、いざ殻が破れたときの快感がすごくあって、「あ、殻を破るってこういうことなんだ」っていう、そういう達成感がすごく新鮮でした。この快感を感じるためにぜひ受講してほしいと思います。
伊藤:アウトプットがある研修はとても貴重だということです。SEの研修はインプットが多く、アウトプットがあまりないんです。なので、受講者側はあまり導入障壁がなく通えてしまうんです。でもその分スキルもつかないんです。「まぁ、座っていればいいでしょう」「ちょっとスマホさわってしまおうかな」「ここ興味ない」「テストに出ないって言われたからいいや」という状況になるんです。でも今回の研修は、間髪入れずアウトプットしなければいけないので、気を抜く暇がない、なおかつ羞恥心出しまくりの研修なわけで、逃げれないので、絶対に身になるんですよ。僕もたいした修羅場はくぐってきてないんですけど、ひやっとする瞬間とか、自分を追い込んで仕事をした経験が何回かあるんです。そういう経験を経て人間は成長すると思うんです。そういう経験があるからこそ人にやさしくできるようになるし、自分が恥ずかしいと思うこともできるようになる。その修羅場を経験できることはラッキーだと思うんです。そういう経験が幸か不幸かできない人もいるんです。でもこういう研修を通して、実際の修羅場に似た経験ができるんです。あの恥ずかしいアクティビティが修羅場に感じてる人もいるんです。そういういやな経験をしないと人間成長しないんですよ。それが効率的に人間性を磨く研修だったら、なおいいじゃないですか。会社の実際の修羅場よりは、効率的に何かを学べるわけだし、何かを得られるわけなので。だからそういう風に人間が成長するきっかけを、アウトプットで与えてくれる研修だなと思いました。
----------では、全体的な感想を、伊藤さんからお願いします。
伊藤:僕がなぜ今回の研修を準備したのか参加者のみんなに伝えていなかったので、この場で話せたことがよかったです。多分、参加者の中でも若いコたちは、あまり理解できなかったと感じている人もいると思います。「恥ずかしいことをさせられた」と感じている人もいると思います。僕も20代後半だったらそう思います。僕の思いをこのインタビューを通して「こういうことを裏で考えていたんだ」ということが社内で伝わればいいなと思います。
----------今日私は勝手に、NTT東日本さんという誰もが知っている大企業で働いている方々は、固い雰囲気の方が多いのかと思い込んでいたのですが、みなさんと楽しくお話させていただいて、柔軟な方がたくさんいる、素敵な会社なんだということが分かりました。もし受講後モヤモヤしている方は、この伊藤さんの思いや、一緒に受講された小野寺さん、治田さんの思いを読んで、自分なりの答え合わせをしていただけたらうれしく思います(笑)。ありがとうございました。