本当の責任者は誰か?
早期にチェック、頻繁にチェック
様々な産業で、適切なコンプライアンス手順に従っていない企業の存在が次々と発覚しています。一部の企業では何十年も不正が続いていました。すると、本当に責任を負っているのは誰かという疑問が湧いてきます。経営陣は報告書を渡され、部下に頼って正しい情報を得ています。さらに、経費を削減し、目標を引き上げる決断を下します。その際に経理操作が始まるのです。株主も取締役会も満足で、勝利の方程式が持続します。唯一の問題は、「コスト削減、収益増加」の目標を満たすために、手抜きが起こり、手順がスキップされることです。
すると不祥事が新聞の見出しを飾り、夜の報道番組ではキャスターがあなたの会社の嘘をトップニュースで取り上げ、雑誌は何ヵ月もこのニュースをネタにします。フェイクニュース現象は、メディアがビジネスであることを浮き彫りにしました。メディアは真実を伝えるよりも、金儲けに関心を持っています。そこで一丸となってあなたの会社を敵対視し、容赦はしません。非難の嵐が吹き荒れるほど売上が増えるからです。メディアはこのニュースをネタにとことん稼ごうとするわけです。株価は急落し会社の価値が低下するため、株主と取締役会は意気消沈です。「コスト削減、収益増加」の目標は何だったのでしょうか?
オーストラリアでは酒に酔ってとんでもなく馬鹿なことをしでかすと、「あの時は良いアイデアに思われた」と反省します。現在の日本も同じような状況です。痛みを分かち合い、事態は収拾されるでしょう、次の事件が発覚するまでは。それより大事なのは、どうすればシステムが機能していることをリーダーとして信頼できるかという問題です。私たちは多くを前提にして多くを期待します。それで十分でしょうか?
現代は組織構造が複雑化した結果、常にすべてに通じている人は一人もおらず、任務と責任を部下に委ねざるをえません。通常は、あるべき姿通りに事が進んでいることを確認するために、システムにチェックとバランス機能が備わっています。
日本では失敗が重大な結果をもたらすことから、人々は失敗が発覚するのを恐れて平気で嘘をつくことがあり、さらに大きな問題を引き起こします。あるべき姿通りに事が進んでおらず、全員がグルになっています。物事を隠す、情報を伏せる、上司に情報を伝えない、というのが日本企業の暗部です。この点に関して誰もが忍者さながらの場合、どう対応すればよいでしょう?メディアで毎日目にするように、大企業でさえきちんとできていないのです。
日産が無資格の従業員に完成した車の検査をさせていた事件が発覚した時、西川社長は不正が早期に発見されなかった理由に首をひねりました。「問題を報告しても解決されない」からと社内の告発者が現れなかったことが明らかになり、この疑問について答えが出ました。
あなたは任命されて今の役職に就いているかもしれないし自営業かもしれませんが、多くの事柄はあなたにお構いなく進んでいきます。仕方ありません。会社はある一定の規模に達するとコントロールを失うしかなく、さもなければスケールアップし続けることは不可能です。あなたの会社の営業職が顧客に何を伝えているか、どうすればわかるでしょう?知りようはありません。バックオフィスのスタッフがミスをした時はどうでしょうか?そもそも知ることができたとして、いつだって最後に知るのはあなたでしょう。
私たちにできることはあるでしょうか?沢山の顧客と話をすること。サプライヤーと話をすること。システムがきちんと機能していることを確認すること。チームがあなたに内緒でシステムの一部をスキップしていないか確認すること。スキップしていたとしたら、「面倒くさい」が理由だったことは間違いありません。システムが迂回されていたり、あなたが願ったり思っていたことがその通りになっていないことを、たいていはひょんなことから発見して驚きます。損益計算書や貸借対照表の数字ばかりに注目していてはいけません。作業の流れ、顧客処理の流れに目を向け、システムをフォローすることです。
仕事は増え、あなたはいつも時間に追われています。不正問題に揺れている大企業の幹部は、応急処置やブランドへのダメージを最小限に抑えようと奔走しているはずです。あなたなら予防と救済のどちらに時間を費やしたいですか?早期にチェック、頻繁にチェックです。