リーダーシップ

変化とともに生きる時代のタイムマネジメント

ソート・リーダーシップ・シリーズ ビジネス達人 #19 (リーダーシップ)

国籍、性別、年齢を問わず、全ての方に平等に与えられた共通の資産。それは時間です。
誰にでも平等に一日1440分が与えられています。人生100年とするならば、一生で36500日を過ごす事になります。これは多いと思いますか?以前この36500日の単位が仮にお金の「円」だとしたら、どうでしょうか。と問いかけられた事があります。一生のうちで36500円使えるとしたら1円の重みはどのように感じますか。万人に平等に与えられた時間という資産。物理的に増やす事ができないならば、与えられた時間を最大限に有意義に、そして感謝して過ごせる時間を増やしたいと思いませんか?

 

「タイムマネジメント」は一般的には仕事の効率化を図りパフォーマンスを最大化させる。時間を効果的に使うためにタイムマネジメントを駆使する方が多いと思います。インターネットで「タイムマネジメント」と検索すると「時間管理」「生産性向上」「効率化」というキーワードが目に飛び込んできます。そしてタイムマネジメントの「副産物」として自由な時間が増える。人生が充実する。という事が言及されていました。忙しい私達にとって、自分の時間を確保することや自分の自由な時間を持つことは、まるで、当たったらラッキーな「オマケ」のように扱われているのかもしれません。

 

当然ですが、私達は、生きている間、時間が与えられています。時間は命であり、時間は自分である。ともいえるのではないでしょうか。であるならば、タイムマネジメントは私達が真剣に取り組むべきミッションであり、使命である。まさに「命をどのように使うのか」。そのような壮大なテーマなのではないでしょうか。

 

タイムマネジメントの際に時間の使い方を4つのエリアに分割することはご存じの方も多いと思います。第一象限は「緊急かつ重要」、第二象限が「緊急ではないが重要」、第三象限が「緊急だが重要ではない」、そして第四象限が「緊急でもなく重要でもない」。ビジネスパーソンとしては第二象限の「緊急ではないが重要」という項目に費やす時間をしっかり確保できる事が理想的です。ストラテジーを考える、仕組みづくりをする、などが第二象限に該当します。そこで、タイムマネジメントも人間関係、信頼関係を築くこと、ストレスマネジメントがとても大切になってきます。リーダーは、チームメンバーのモチベーションが上がるようにサポートし、スムーズな権限委譲ができるようにすると、組織のパフォーマンスが上がります。そのことにより、さらに第二象限に使える時間が増えていくという好循環が生まれます。

 

昨年、クライアント企業の日本のジェネラルマネージャーの方がおっしゃったことですが、彼は週に一回は半日ブロックタイムを活用して「ビジネスプランを立てたり、自分のあるべき姿について考える」つまり第二象限に費やす時間をしっかり確保する。とおっしゃっていました。ブロックタイムとは、自分に自分でアポイントを取る感覚です。ブロックタイムをとることで妨げられるものが無くなり、集中して仕事をこなすことができるようになります。弊社社員は「ブロック・タイム」を積極的に活用しています。ちなみに、今まさに私はブロックタイム中にこのポッドキャストを収録しています。全社に向けて何時までブロックタイムをします!と通知をすると他の社員から良いね!ハートマーク!などの激励メッセージが届きます。

 

また、一度に同じ種類の業務をまとめて行う方が効率が良いと言われています。そして優先順位の高い仕事をまとめて先に行う事がお勧めです。これも同じジェネラルマネージャーの方がおっしゃっていたのですが、「コップに石と砂を入れるときは最初に大きい石から入れて砂を後から入れて隙間を埋めるとおさまりがいい。時間も同じです。」という例えをされていらっしゃいました。

 

デールカーネギーの原則の、「疲れてしまわないうちに休息する」もご紹介します。ポイントは疲れてしまわないうちに休息を効果的に取る事です。リカバリーも早くなり、集中力やアウトプットが変わってきます。休息をとることをしっかり自分に許可しましょう。

 

仕事を完了するための時間を25%多めに見積もり余白を作ることもお勧めです。余裕を持って仕事に取り組めば、精度を高める事が可能になります。変更や改良に対応することが生じた場合でも落ち着いて対処することができます。ビジネスミーティングも60分に設定されることが一般的ですが、企業によってはミーティング時間を45分間または50分間に設定することを推進しているようです。まさに余白でミーティングのふり返りや次のミーティングの準備ができるので、効率的です。また、隙間時間でコーヒーやお茶を一杯を飲む時間や雑談の時間が生まれてそんな時間にイノベーティブなアイディアが浮かんだりするのです。

 

デール・カーネギーの原則に「当面の問題に関係ある書類以外は全部机上から片付ける。」があります。視界から入る様々な情報は意外にも大きく注意力を削ぐ要因になります。日本では、断捨離という言葉が身近ですが、必要なものと不必要なものを分けて捨てることを心がけましょう。今でいうと、メールの受信トレイ、パソコン、スマホのデータ整理なども必要になってくるでしょう。本当に大切にするものは何かをしっかりと意識し、そのことに集中的に向き合う事で、時間に余裕が生まれます。

 

これらの事を踏まえたうえで、終業時に翌日のプランニングをし、明日への希望で一日を終わらせるのです。デール・カーネギーは「人生とは今日一日の事である」「今日という一日の区切りで生きる事」を私達に伝えました。私達は、過去への執着と未来への心配にとらわれず、今日を精一杯生きているでしょうか。時間は逆立ちしたとしても、後ろ向きに歩いたとしても、来た道を同じ速さで戻ったとしても・・・やはり前に進んでいきます。正確には連続した「今」があるだけなのです。

 

インターネットが無かった、デール・カーネギーの時代は一日一日の区切りで生きる事は妥当だったかもしれません。変化ともに生きる時代の今、インターネットやメール、SNSなどで情報が瞬時に飛び交います。一日よりももっと小さい区切りでその瞬間、瞬間を過ごす事が求められる時代となったと感じています。

 

先日行ったトレーニングセッションで、2分で新年度のニュービジョンを考えましょう!そしてそのビジョンを皆に共有し応援してもらいましょう!というセッションを行いました。セッションの最後の気づきと学びの共有で受講された方が「2分で様々なアイディアを出す事ができて、2分の尊さを実感しました。今までは、1、2分レンジでチンしている間に効率を考えて皿洗いなどをしたりしていました。これからは、その時間、自分と対話する時間を強制的に作れるのではないかと思いました!」とおっしゃってくださいました。それは、私にとっても本当に嬉しい気づきでした。そしてその豊な気づきを産み出した時間とメンバーに心から感謝をしています。

 

ぜひ皆様も、まずは、2分という時間に意識を向けてみてください!

 

Dr. Greg Story

President of Dale Carnegie Tokyo Japan

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