目標をしっかり持った自己管理のできるリーダー
私たちはみな、頭の中では何をすべきか、そしてどうやってそれをすべきかわかっています。でも、実際にはうまくいきません。メールの受信トレイは置き去りにされたメールたちの巨大な駐車場と化しています。これらのメールは目もくれられていないけれど、すぐに対応できるようにと、とりあえずそこに置かれています。ミーティングにもたくさんの時間を無駄にしていると分かっています。なのに、ミーティングはいつも 1 時間で設定されていて、みんなパーキンソンの法則に従い、時間を満たすまで仕事量を膨張させています。決して読むことはないけれど、刺激になると思われる雑誌や、書類、報告書が、手が届くところに高く積み上げられています。ここにも、迷子になった文書記録の駐車場があります。
今日のリーダーは、あまりにも多くの時間を、仕事を整理することに費やしています。実際に作業を実行するよりも、それをどうするか決めるための整理に労力を使っています。メールや電子文書を整理するのですが、どこに入れたか思い出せず、探すことに時間をかけています。片付けて次の仕事に移れるか保証できないため、紙を1つの場所から他の場所に絶えず移動しています。誰しも平等に1日1,440分を与えられていますが、実際には時間を管理できていません。1日1,440分に収めることができていないのです。私たちは自分自身の時間と、自分が設定した目標しか管理できません。
ある人にとってはカオスであっても、他の人にとっては柔軟なことを意味します。あなたのオフィスはまるで爆弾が破裂したかのような状態ですが、不思議にも、そして腹立たしいことに、あなたはいつもがれきからすぐに必要な特定の情報を取り出すことができます。一方、机の上にはほとんど何もなく、他のみんなの希望の星というようにキラキラと整理整頓されているという人もいます。すべてはある場所に収まり、すべてのものに場所はあるというタイプです。
至高の整理整頓か、至高のカオスか。あなたはどちらのタイプですか?正しい答えはあるのでしょうか。いいえ。誰しも自分なりの仕事のやり方があります。システムを整えることで可能になる生産性の量が、大きな違いを生むのです。
過去、現在、未来の活動に関して、私たちはどこに時間をかけているのでしょう。これも正しい答えはありません。でも、どこに自分たちの労力を向けるか決めなければなりません。自分の仕事を整理する方法を見直すための1 つの方法として、仕事を過去、現在、未来に分けてみましょう。
過去には、かけ直さなければいけない電話、返信しなければいけないメール、書かなければいけない報告書などが集められそうです。現在には、今日のミーティングや、突然出てきた緊急性のある仕事があります。部下が仕事を進めるために、あるいは今日の締め切りまでに終えるためには、上司であるあなたの関心が必要とされる仕事です。未来には、旅行の手配、承認を受けるためのプロジェクトの提案書、締め切りが近づいてきた仕事、連絡が必要な人の確認などが考えられます。
そして、各グループから仕事を取り出して、グループごとにリストに並べ、注意が必要な順に優先順位をそれぞれ付けます。過去から1つ、現在から1つ、そして未来から1つと選んだあと、次の優先順位に進むというように、各グループを順番に回って行くとよいかもしれません。
この方法だと、普段の仕事のやり方に少し変化を付けることができます。仕事に注目することで、プロジェクトに十分な時間を与えることを忘れていたり、計画時の「緊急ではないが重要」な項目に、十分な労力を費やしていなかったりすることが明らかになることがあります。いつも同じ方法で行うということは快適なことです。しかし、生産性を伸ばし、仕事が完了したことを明確に示せることを目指すのなら、自分の「コンフォート・ゾーン(居心地の良い領域)」から脱け出してみるのもよいでしょう。
ここに、ぜひ検討していただきたい生産性に関する2つのヒントを紹介しましょう。仕事を完了するための時間を25%余分に取ること。多くの場合、物事をあまりにも細かく分けすぎて、永久に終われなかったり、その仕事で最低必要な量をこなせなかったりします。この少しの余分な時間を設けることによって、始まったけれど実施されていないプロジェクトの底なし沼に放り込むよりも、完了した仕事、あるいはほぼ完了した仕事のバロメーターの針が動くかもしれません。
帰宅する前には、翌日の予定を見て、その日の優先順位を確認しましょう。これによって、翌日に向けて頭が整理され、出社したらすぐにとりかかることができるし、また翌日のために準備が必要であることを忘れてしまうことがあったら、それを思い出すことができるでしょう。
可能であれば、ミーティング、特に顧客を訪問するときは、その面談の時間を事前に確認しましょう。変更があったら早めに把握でき、それによってその日の計画をその場で再調整できます。同僚でミーティングを忘れている人もいるでしょうから、これによって、特に通勤に時間をかけている人たちに、必要な準備などについて確実に思い出させることができます。
大きな「ブロック・タイム」枠を使って時間を整理してみましょう。顧客や上司とのアポイントメントを取るのと同じようなものです。たいてい、彼らとのアポイントメントはしっかり守りますよね。この場合、自分とのアポイントを取るのです。そうすることで邪魔が入ることなく、ある程度集中して仕事をこなすことができるようになります。
プロジェクトのすべての要素を1つにまとめておくと、足りないものを探さなくて済みます。すぐにものが溜まって乱雑になるものです。ですから容赦なく捨てることを心がけましょう。現在、自分が取り組んでいるもの以外、すべての紙をオフィスから排除するようにしましょう。これによって、邪魔するものが減り、取り組んでいる仕事がよりはっきりとしてきます。マルチ・タスキングをしようとせずに、一度に1つの仕事をしましょう。できるだけ1 つのことに集中するのです。
重要な情報についてメモをとれるものを用意しましょう。紙でもいいし、電子ファイルでも構いませんが、1日に仕事をこなしていく中で、考えや、データ、情報、インスピレーションなどを書いておくリマインダー・リスト形式のものにします。
予定表を持ち歩くようにしましょう。紙のものでもいいし、スマホからアクセスできるカレンダーでも構いません。そして、2回入力しなくてもいいように、手帳は1つだけにするようにしましょう。このように予定を計画することで、時間どおりに行動できるようになります。
イベントに出かける時は早めに出るようにしましょう。日本では場所を見つけるのが難しいこともあるので、住所を探すための余分な時間をとります。イベントの場合は早く着くようにして、名前が書かれているバッジを確認します。誰が来るのか覚え、あとで名前と顔が一致するようにします。また、イベントで会いたいと思っている人を探して、ネットワークを広げます。常に早く到着するようにすることで、パニック状態ではなく、冷静で落ち着き穏やかな印象を与えることができますよ。