人事評価の落とし穴
ソート・リーダーシップ・シリーズ ビジネスプロ #16 (リーダーシップ)
こんなお話を聞かれたことはありませんか?『また新しいトップが就任して、今まで使っていた人事評価システムが変更になる。』ついこの間もどこかで聞いたような話です。
多くの企業で、今まで一年に一度だった評価面談が2回、3回となり、形式も係長と部長別々に個人面談というような風潮になってきました。ところが人事評価満足度調査やエンゲージメント調査によると、一貫して人事評価はほとんど効果的に行われていないという結果が出ています。果たしてこの変化が正しい人事評価につながっているのでしょうか。
人事評価システム改定の風潮には『今までマネージャー陣が部下をうまくリードできておらず、それを投資家に気取られないためにあたかも社員へのケアを増やしているのだというように見せているだけだ』という厳しい意見もあります。
『チームをどうやって評価するか、どの従業員を昇進させるか、またはどの従業員にボーナスやより高いコミッションといった報酬を与えるか、それをどうやって決めるか』といった根底の問題を同じまま回数や面談スタイルを変えたところで、どれほどの変化が見込めるだろうか、という疑問は社員の頭をよぎります。
先にも申し上げた通り、人事評価はほとんど効果的に行われていないという結果が出ています。理由の中でも目立つのは『悪いパフォーマンスに関する指摘ばかりで、評価の後でやる気が増した、自信を得た、意欲を持った、現状改善ができると思った、というような感情を持つことはない為』というものです。では、効果的なパフォーマンス管理や人事評価はどのように行われるべきでしょうか。
パフォーマンス管理と評価を行う方法について、マネージャーのフィードバックスキルの向上があれば希望が増します。根本的な問題であるタスクや時間管理を行い、必要に応じた業務委託の取入れが建設的な話し合いとミーティングの目標に結びついています。上司がチームメンバーとの建設的な意見交換に注力できなければ、ミーティングに時間をかけること自体が無意味です。
タ スク・時間管理、コミュニケーションおよび人間関係の3点におけるスキルを向上することがキーになります。これら3つのスキル向上に企業は力を注がなければなりません。その為に必要なのは、単なるスキルトレーニングでしょうか?
ここで大切なのは、マネージャー陣の『自己意識』に変化が起きる仕組みです。彼らの存在、そして影響は組織非常に大きく重要な影響を与えます。貴重で大切な要素です。冒頭でお話しした面談回数の増加も、現状が不十分であるという認識をしているという意味では大きな一歩前進なのです。次の一歩は、各マネージャー自身が必要なスキルを認識できる環境と、必要と認識されている内容とその先にあるニーズやウォンツに対して適切なトレーニングを提供するシステムを作り上げることです。
これは2時間のワークショップで簡単に修正できることではありません。トレーニングは、対応済みと形式的にチェックマークを付けるためや、単にもっと多くの情報や新しい情報を与えるだけでは達成されません。知識がスキルに転換され、定着し応用できるまで練習できる環境が大切なのです。何かを知ることと、することは同じではありません。
価値のある評価システムに切り替えるには、我々はより上手にコミュニケーション内容を扱えるよう、今よりさらに努力しなければなりません。これが現実にならないかぎり、またこれも一時的な流行としてしばらくしたら静かに廃止される結果になってしまうことでしょう。
Dr. Greg Story
President of Dale Carnegie Tokyo Japan