リーダーが直面する最大の課題
ソート・リーダーシップ・シリーズ ビジネスプロ #10 (リーダーシップ)
事業を更なる成功に導くうえで大切なことは何でしょうか?厳重な原価管理でしょうか?または品質管理の徹底ですか?それともブランド確立のための努力や競合に対する警戒、または株主優待の取り組みなどでしょうか?そのどれも勿論大切ですが、ここをしっかりと押さえておかないと一定以上の成功が見込めない、という大切な点があります。それは、社員の質です。 社員の質とはどういう意味でしょうか。確認していきましょう。
社員の質とは、仕事効率を高めるためのトレーニングをすべきということを指しているわけではございません。社員の採用や維持についてはいかがでしょうか?少子高齢化のこの時代、実は苦労や心配をしている、という話をよく聞きます。
社員や従業員の不足が多くの業界で深刻な問題となっているのです。
たとえば、新入社員には複数の就職先の選択肢があります。数ある企業の中からなぜ御社を選びたいと思うのか、更に大切なのは、なぜこの会社に長く留まりたいと思うのか、この2点について考える必要があります。
人は会社から去るのではなく、上司から去ると言われています。正当なものかはさておき、企業に関する情報はネット上で溢れるほどありますから。当然新入社員は就職を検討する前に企業チェックをするでしょう。中途採用にいたっては、リクルーターの方々が担当職種のネットにさえも載っていないようなあらゆる情報をもっていらっしゃるでしょう。優秀と思われる人材であればあるほど、リクルーターの方々は数少ない貴重な戦力として日夜お声がけをされていらっしゃいます。
そんな中、社員や従業員が魅力を感じない企業体制や上司、またはその両方を持つ職場に当たればどうでしょう。残念ながら『就職した企業に腰を据え、一生を捧げる』という考えは現在には通用しない時代になりました。優秀な人材であればあるほど、この組織で自分にどんなメリットがあるのか、またはどんなデメリットがあるのかというバランスに目を向けつづけているのです。
社員のエンゲージメント・レベルは管理のされ方に大きく関係します。日本を含む世界レベルで弊社が独自に採り行いました『エンゲージメントに関する調査の結果』によりますと、日本でも『自分の存在や意見が尊重されている』と感じられることが、社員のエンゲージに必要不可欠な要素となっています。このエピソードを聞いていただいているマネジメント層の方で、自分の部下や会社全体の社員全員が『自分の存在や意見が尊重されている』と感じていると100%の自信を持って仰ることの出来る方がどれほどいらっしゃるでしょうか。マネージャーの人を管理するという仕事は、部下を正しい方向に導きながら、この%を限りなく高く保つところにあります。
これらの点を考えてみると、マネジメントという仕事がどれほど複雑で非常に重要な意味を持つ、ということが改めて明確になったかと思います。
御社のマネージャー層は、自分たちのチームをどのように扱っていらっしゃるでしょうか。少子高齢化が進み、これからますます貴重な存在となる優秀な部下たちが正しくマネジメントされている環境を、マネジメント層全員が作られていますでしょうか。
エンゲージメントは、どのように高め、更にキープことが出来るのでしょうか。
従業員は転職をしません。リクルーターの方々からの甘いささやきさえ、一蹴してしまうことでしょう。『自分の求める価値、そして将来がこの会社にあるのだ』ということを自らの考えで気付いている社員や従業員は、転職どころか、更なる成功を生み出すために能動的に仕事をします。
では、価値とは、求める将来とはどういったものでしょう。全員が同じなのでしょうか?そんなうまい話があれば、マネジメントなんて誰でも出来てしまいます。優秀な上司は、チームメンバー一人一人で違う価値観やゴールをしっかりと把握しています。何に恐怖や不満、懸念をもち、どんな希望、目標、そして熱望を持っているのかを知っているのです。いやいや、そんなところにまで立ち入る気はないと一線を張る方もいらっしゃるでしょう。ハラスメントになるのではと不安を感じる方や、上司の仕事はチームに数字を出させることだけだ!とお考えになられている方もいらっしゃるかと思います。
どんな理由にしても、その社員の価値観に100%あったものさえ提供できていれば、それも良いかと思います。問題は、その方の価値観を知らずして、100%と言い切れる方がどれほどいらっしゃるでしょうか。優秀な社員は、自分には自分の価値観が満たされる場を選ぶ権利があると自覚しています。お伝えしたいことはお分かりになりますね?従業員を維持し離職率を低く保つには『相手の価値観を知る』ということがとても重要な課題なのです。
踏み込みたいが不安だ!と感じるマネジメントの方が大切にすべきは、聞き出すタイミング、つまり関係性なのです。
関係性を高くする方法の一つに『正しい方法で称賛を与える』という方法があります。正しい称賛とはどういうことでしょう。ただ「よくできた」と言うだけでは正しい方法とは言えず、場合によっては逆効果です。『よく出来た』とはいったい何がよくできていたのでしょう。相手を認めるには、具体性をもって話すことが非常に大切です。よくできたことに関する詳細を簡潔にまとめ、相手に直接伝える必要があります。つまり、称賛の裏付けとなる証拠をつけることです。タイミングも非常に大切です。褒めすぎは逆効果だと聞いたことがある!と年に一度のクリスマスプレゼントのように、称賛を評価の時まで取っておくなんて、もったいない!称賛に値する出来事があった直後に行うことで『信憑性』が高くなります!さらには、相手にとって『繰り返しこれを行えばいいの
か!』という指針にもなるのです。
このほかにも、相手との関係性を構築し、強める方法はいくつもあります。逆に権限移譲のように、やり方を間違えると関係性が一気に悪化するものも多くあります。正しい方法さえ行うことが出来れば、チームや組織は一気に活性化します。革新的なアイディアが生まれる環境になれば、部下を認める・存在価値を感じてもらうチャンスはさらに増えていくことでしょう。
アイディアが採用され、実施されれば能動的な働きもより増え、その仕事が認められ称賛を受けたあかつきには、自然とどれだけ素晴らしい会社なのかという噂がいたるところに響き渡るでしょう。そうなれば、優秀な人材は向こうから来るでしょう。想像しただけで、ワクワクしませんか?
会社の将来を大きく左右するマネジメントの力、今こそ発揮するときです。対象が人である限り、悩みは尽きないとおっしゃるでしょう。ご安心ください。その為に、我々デール・カーネギー・トレーニングが存在します。企業、いえ、日本の将来を『力強く』支援いたします。
Dr. Greg Story
President of Dale Carnegie Tokyo Japan