プレゼン時に聴き手の表情を読み取る方法
ソート・リーダーシップ・シリーズ ビジネスプロ #20 (プレゼンテーション)
聴き手のまなざしを一身に受ける、あまり得意ではないという方もいらっしゃるかと思います。特に反対意見やこちらのあら探しをしようとしている聴き手にじっと見つめられれば、緊張が高まってしまうのは想像にたやすいでしょう。手助けとなるマインドセットとお勧めの対処法があります。
我々が緊張してしまう理由の大きなところでは、ネガティブ思考に走るところではないでしょうか。聴き手の表情から『うわっ、つまらなそうな顔してる!』とか『こっちの人は私をにらみつけてる!』とか『全然刺さってないように見える!』といった印象を感じ『もしかしたら何か言い間違えたのでは!』と想像が暴走を始め、ネガティブ・ループに陥ってしまうケースをよく耳にします。まず、念頭に置くべきは『人を見た目で判断してはいけない』ということなのです。私がトレーナーとして独り立ちする前の、2人組でトレーニングを行なったときのことでした。品川付近のとある30名ほどが入るであろう長方形の貸し会議室にて、14名の参加者を前に、私は頭にいれた内容を“思い出しながら”トレーニングをしていました。今でも鮮明に思い出せます。U字型に並べられた席の右手奥に座っていた男性が、目を閉じて額に皺をよせ、腕組みをしながら時より目を開いてはジロっと睨むかのような視線を私に投げかけていました。怒っているに違いない。私は思いました。質問が鮮明でないのでは?言い回しが分かり辛かったのでは?納得に足らない説明なのでは?色々な思考が頭を駆け巡りました。トレーニングが終わった後、彼は最後もしていた腕組をほどき、ゆっくりと立ち上がってしかめっ面にへの字に口を曲げたまま私に歩み寄ってきました。『どんな罵詈雑言を浴びるんだろう』私は思っていました。そして、彼が口を開きました。
『すごく勉強になりました。実は私のチームに打っても打っても響かない部下が一人いて、ご相談させていただきたいんです』と仰ったのです。危うく私は『はい?』と返答するところでした。何度かうなづくことでなんとかその言葉を飲み込みながら、ここで私は初めて気付いたのです『あぁ、この方は自分の置かれている状況をトレーニングで得た気付きとシンクロさせて、部下問題解決に役立たせるために集中と想像の両方をしながら聞き入っていたのだ』と。まさに、『人を見た目で判断してはいけない』が体現された経験でした。それでは、こういった不必要な不安を生み出さないためには、我々はどういった対処法がとれるでしょうか。
私がプレゼンを行う際に気を付けていることの一つに、アイコンタクトがあります。聴き手とのエンゲージメントを高める為です。参加人数によって会場を3~6分割し、区分ごとに代表者を1名決め、プレゼンをしながらその方を6秒間見つめます。これをランダムの区分で行い、同じ区分を見るときは代表者を変えてアイコンタクトを行います。こうすることで、どなたが自分のプレゼンに対して前向きや、前向きでなくても中立な印象を持たれている方が把握できます。把握が出来たら、そこから先はその方々に集中してアイコンタクトを取りながらプレゼンを勧めると良いでしょう。
その区分にいる他の方は、たとえ自分と直接目が合っていなくても、しっかりとエンゲージメントを感じていただけるでしょう。
多くの方は、聴き手の目線を最も挑戦的に感じるのはプレゼン中ではなく、質疑応答の時でしょう。質疑応答については、事前に予測できる質問に対する準備をしておくことも自信につながるでしょう。予想外の質問が出てきたときは『反対処理』という方法を行う必要があります。この方法にご興味をお持ちの方はデールカーネギートレーニングにご連絡をください。
質疑応答において欠かせないのが、『時間指定』です。最初から質疑応答にかけられる時間を指定しておくことで、プレゼンをスムーズに終えることもでき、終わりが見えるぶん、プレゼンターとしても気が楽になります。
どれだけ内面であたふたしていても、聴き手がそれに気づかなければ問題はありません。白鳥を早々してください。優雅に水面を進んでいるように見える水面下では、足をバタバタさせながら進んでいるのです!冷静さと落ち着きを持てば、自信は後からついてくるでしょう!
Dr. Greg Story
President of Dale Carnegie Tokyo Japan