リーダーシップ

聞き上手になる方法

あなたは自分が聞き上手だと思いますか?

現代のビジネスの世界は大量の騒音であふれています。一番うるさいのは、耳から脳に入ってくる音です。多忙を極め仕事に忙殺されている私たちは、基本的なことを忘れてしまったようです。

 

インターネット依存症に陥った私たちには、一瞬のスロータイムもありません。あらゆる場所でメッセージを送信し、受け取ったメッセージを読み、ネットを検索する。猛烈な勢いでマルチタスクを行いながら、1つのトピックから次へとコンベヤーベルトに乗ったような毎日を送っています。

 

その結果、すっかり自分の事だけに夢中になり、周囲で起きていることに注意を払わなくなってきています。コミュニケーションスキルも1次元的な活動になり、自分の言いたいことだけ言って、相手の話に耳を傾けなくなっています。聞くそぶりは見せますが、一部しか聞いていません。ひどい場合は、自分の聞きたいことだけを選んで聞くようになります。自分と同意見の内容だけを求め、発言の仕方や隠れた意義はふるい落とします。

 

しかも、早合点しがちです。話している人が要点に辿り着く前に会話の成り行きを想定してさっさと次に言う相槌を決めてしまいます。しかも、話の要点が言葉だけに表れるとは限らないのに、です。話の伝え方にも重大な意味があるのに自分の言いたいことだけに集中していると、会話の一部を聞き逃すおそれがあります。

 

話している人が何を言おうとしているかうまく予想したと考えると、間違っていても平気で会話に割りこんできます。ささいな点を取り上げて、そうでないのにそれが重要だと思うため、話の要点が些末なポイントに紛れてしまいます。絶えず会話を遮っていると、会話の半分だけを聞いて相手が伝えようとしていることをきちんと理解しないまま、人生が終わってしまうかもしれません。

 

以上を踏まえて、あなたは自分が聞き上手だと思いますか?日本語で言うところの「空気が読め」ますか?それとも、聞くスキルを磨く必要があると思いますか?専門家によると、「聞き上手」には明らかな行動パターンがあり、それは簡単に練習して身に着けられるそうです。以下は、聞き上手になって会話力を高める方法についてのシンプルなガイドです。

 

1.集中力を維持する。

気が散る元になるものを最小限にとどめ相手の言うことに注意を払います。初対面の人の名前が覚えられないという話をよく聞きます。最初に集中して相手の名前をきちんと頭に入れなかったことが理由かもしれません。注意が散漫になっていたのかもしれません。もしくは、自分が何を言おうか考えるのに忙しく、相手に注意を払っていなかったのかもしれません。あるいは、相手がもごもごしゃべったか、機関銃のように早口だったので聞き取れなかったのもしれません。相手の名前さえ覚えられないとは深刻な状況です。ビジネスの初歩として相手に集中してきちんと名前を覚えることが必要です。

集中力を維持することは、口をはさみたい誘惑を抑えて相手に喋らせることでもあります。誰でも話し好きですし、特に自分のこととなれば話したいのはやまやまですから、喋らせてあげましょう。相手に集中すれば、相手に喜んでもらえます。クリントン元大統領は、会った人を惹きつける能力で知られています。「チャーミング」なコメントをする人に共通しているのは、相手だけに向けたかのように言葉を発する点です。質問をして相手に話をさせることで、見ている人が多く混み合ったうるさい場所でも、相手はクリントン大統領と1対1の会話をしていると感じるわけです。クリントン大統領は相手の答えに集中し、ちょっとした時間は他のすべてを忘れます。私たちもこのような集中力を身に着けたいものです。

 

2. 言葉と感情の両方を解釈する。

言葉は相手が言おうとしている内容の一部に過ぎません。言葉の陰に隠れた感情に注意を払うことでメッセージ全体を把握できます。この点で日本は特にやっかいです。感情を押し殺したり本当の感情を隠したりすることが日本文化に根を下ろし、言葉の陰に隠れた真実を推し量ることが非常に困難な場合があります。外国人は時折、日本人には「表と裏がある」とこぼします。日本文化が建前と本音の微妙な差を認めていることを外国人は理解していないのです。言葉の裏にある真実を汲み取るには相手に全神経を集中して、ボディランゲージや声の抑揚などをしらみつぶしにチェックすることが必要です。

 

3.  話を遮らない。

会話に割り込むとコミュニケーションの効果が薄れます。会話の方向を予知する能力がある、相手よりも自分の方が賢いと言っているのと同然です。もっと謙虚に礼儀をわきまえて、相手に最後まで話をさせましょう。そうすれば相手への尊敬と礼儀正しさという、最近珍しくなった品性を示すことになります。人は緊張したり感情を抑えることができない時にも話を遮ります。これは致命的な欠点であり、あなたの評判に傷がつくだけですから、ビジネスの世界では慎むことです。

 

4. ふるいにかけず、オープンな気持ちで臨み、相手の発言を自分の価値観だけで判断しない。

誤って攻撃することがあります。発言の内容に思ってもみなかった解釈を加えることがあり、即座に反応することがあります。こうした傾向がトラブルを招くことも少なくありません。
大きく的を外れていたり文化的な相違が大きすぎてジョークを理解できない場合、ユーモアに訴える試みや冷笑的なウィットが逆効果になる場合もあります。日本人は冷笑的、嘲笑的、自虐的なユーモアをほとんど理解しません。文化的背景が欠けていたり、コメディアンが元々面白くない場合は特にそうです。

 

5. メッセージをまとめる。

相手が言ったことを短くまとめてあなたの理解が正しいことを確認します。会話の最初から最後までやすべての会話に適用する必要はありませんが、まとめる場合は、耳にしたことをあなたが全部理解したことを明らかにするチャンスです。軍隊は長年これを実践してきましたが、軍隊用語を使わなくても、重要な情報を繰り返すという基本的なアイデアは将来の問題を予防する確認のメカニズムとして重宝します。

 

6.  自分の意見でもって早合点しない。

「自分の番」を待ってから話ましょう。日本語は我慢強く「オチ」を待つことを教えてくれる言語です。日本語の文法では、動詞が文の最後に来るので最後まで聞かないと発言が肯定文なのか否定文なのか、過去、現在、未来形なのかわかりません。日本語の時は相手の話の展開が読めないので、早合点したり相手を遮っても意味がありません。一般的なルールとして取りいれるべきです。相手の話を解釈するのに熱心だったり、どうしようもなくせっかちだったり、合いの手好きだったり、相手の話を引き取るのが得意な方はどうぞ落ち着いて。口をつぐんて相手がストップするまで待ちましょう。待つのは苦しいかもしれませんが、我慢すればするほど、あなたの聞く力は高まります。
相手の話を聞くという失われた芸術を復活させることが必要ですが、私たちがその旗振り役になりましょう。ビジネスの基本に立ち返り他人の話を聞くことで大成功を掴めます。

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