自信がうまれるその時!
ソート・リーダーシップ・シリーズ ビジネス達人 #15 (プレゼンテーション)
デール・カーネギーは成功の5ドライバーというものを設定しました。そのうちの一つが「自信」です。著書の中でもエマーソンの言葉を引用しております。「恐怖というものは、この世にある他のなにものより、多くの人々を敗北させる。」恐怖は私達の心の中にあります。恐怖を克服できるスキルを得たい!という気持ちは誰もが持っているものと思います。実は、そのスキルは意識的に鍛えることができるのです!!!
例えば、人前で話す時、緊張する方は多いと思います。
弊社のハイ・インパクト・プレゼンテーションコースの受講者にどのようなプレゼンターになりたいかを尋ねた場合、ほぼ99パーセントの方が「自信があるプレゼンターになりたい」と言います。続いて、興味深い、プロフェッショナル、おもしろい、やる気が出る、インパクトがある、論理的、価値を提供できる、情熱的などがあがります。私たちが一番求めるのものが「自信」というのは、なぜなのでしょう?確かに自信があればメッセージがより強く伝わります。自信なさそうに提案すると、相手も不安にさせてしまいます。自分のことも信じられないのに、他の人が自分の言うことを信じてくれるでしょうか。
自信はポジティブな精神状態と連動しています。特に日本では、謙虚さや奥ゆかしさを重んじるという背景もあり、学校教育の中では言いたい事をはっきりと発言したり、自己主張することが難しい環境だった方もいらっしゃるかもしれません。ところが、社会に出ると急にグローバルな環境で、意見や考えを求められるようになった私達・・・急なキャラクター変更を強いられる。そんな戸惑いが生まれたかたもいらっしゃると思います。
人前で話すとき、なぜ私達は緊張するのでしょうか。少し考えてみましょう。
おひとりおひとり様々な理由があるかもしれません。突き詰めると、つまり「自分にフォーカスしている」という事になるのではないでしょうか!?話すときに限らず、私達は常に、自分がどう見られているか、間違えたらどうしよう、自分は他者にどんな影響を与えられるか・・・などなどと自分に意識が向いてしまっているのです。新しい事に挑戦する時、これまでやったことがない事、専門的で何らかの試練やトレーニングを必要とする事柄を目の前にすると私たちは緊張します。そこで、緊張や恐怖を克服するには「自信」が必要になるのです。それではこの「自信」についてさらに詳しくみていきましょう。これは、人前で話す時のみならず、どのような機会でも当てはまる根本的な事だと思います。
大勢の前でのプレゼン、社内のミーティング、または商談や社外プレゼンなどで話す機会がある方、話すときに大切な事は何でしょうか。とまず考えてみましょう。大切な事が分かると心が落ち着くと思います。大切なのは、相手が心地よくなることなのです。聴き手とのエンゲージメントが大事なのです。相手がリラックスできて、その場を楽しんでいるかを常に心がけてみましょう。相手にフォーカスをし、100パーセント目の前の相手に集中することができているときは緊張していないのです。または、緊張を忘れていると言った方がいいかもしれません。うまく話す事でもなければ、自分を良く見せることではないのです!むしろカッコつけずに、オープンにありのままの自分を見せることに抵抗がない状態になれると素晴らしいと思います。
もちろん、リラックスや楽しませることが目的ではないプレゼンもあると思います。たまに情報提供のためのプレゼンなので、楽しくなくてもいいのです。という声を聴きます。ここまで読んで下さっている方は、お分かりだと思いますが、どのような時でも相手にフォーカスすることは有益です。相手が安心感を持つ場を提供できるように心がけてみましょう。例えば、プレゼン資料の準備も聴き手が安心するような情報を事前に考えて、自分の為ではなく、聴き手の為の資料を作ってみてください。あれもこれも情報を提供することは誰の為でしょうか。情報をてんこ盛りにして何も聴き手の記憶や心に残らないよりは、的確な情報提供をするようにしましょう。また、事前に相手について知ることができる場合は、ぜひ相手について関心持って知りましょう。相手が本当に欲しい情報は何か。相手の性格や特性や立場を事前に知ることができれば、一度に盛り込む情報の内容や量なども調整することができます。聴き手が結果や効果を知りたい方なのか、プロセスや背景、ストーリーを知りたい方なのか、安全性や機能性を知りたい方なのか、経済的なROIを知りたい方なのかなど、相手によってピッチを変えることも相手の為の配慮なのです。
そして、ゆっくりと落ち着いたスピードで話し、大事な事を伝えるときは強調して、ここは重要です!というトーンで話す事で安定感をだします。聴き手と呼吸を合わせるように間をとります。その心地よい間があることで、聴き手がより理解を深めます。間のタイミングがあうことで、聴き手とよりエンゲージすることができて、心地よい空間になります。緊張も忘れると、自然にアイコンタクトが取れて、聴き手と心が通い合っている事が実感できます。そして、自分も相手もリラックスして楽しんでいます!アイコンタクトについては、F2Fでのプレゼンの場合、6秒間同じ方を見ると良いと言われていますが、イメージ的には一つのセンテンス毎にお一人ずつを見て話してみると良いでしょう。やってみるとわかりますが、6秒間見つめるのは長く感じます。一方、聴き手の方は意外にもそんなに長く感じていません。それどころか、スピーカーからじっと見つめられると、ほとんどの場合、聴き手の方は自然にうなずいてくれます。うなずいてくれる聴き手を前に話すのですから、さらに一体感が生まれ、とても心地の良い空間になるのです。
アイコンタクトや話し方のコツについては練習で変わることができます。プレゼンも効果的なコーチングを受ける事で意識せずにできることが増えてきます。しっかりとした型を体と心が覚えるようになります。
しかし、型を覚えて、どんなにうまく話していても聴き手とのエンゲージができていないプレゼンテーションを聴いたことはありませんか?プレゼンのみならず、目の前の相手とエンゲージ出来ているとき、それはどのような状態でしょうか。もう一度、一番大切な事を考えてみましょう。フォーカスすべきは誰なのか。自分から相手に軸足を移す事が常となった時、自分に対する不安が消えているのです。そして、リラックスする時間が増えているのです。
そう、自信が生まれるその時は、相手の為を想っている気持ちが満ちたその時なのです。
Dr. Greg Story
President of Dale Carnegie Tokyo Japan