セールス

お客様の真実を導き出す!

ソート・リーダーシップ・シリーズ ビジネス達人 #8 (セールス)

セールスという職業には探偵のようなスキルが求められます。と聞いたらちょっとワクワクしませんか。確かに、セールスのお仕事は、確実な情報や価値の高い情報、情報源をめぐり、様々な綿密な調査を行い「真実」を導き出します。まずはお互いにお探しの物を手探りで探すダンスのような段階を経て、真実に迫っていきます。真実を導き出し、お客様に私達の提供するソリューションに投資をすることにワクワクしていただく。それまでには多くの貴重な時間を互いに投資することもあると思います。セールスとして、お客様の心を開き、情報をいかに多く、正しく、集められるかは、とても大切です!

 

さて、本当に大切な時間を費やすべきお客様の為にしっかりと時間を使えていますか。セールスパーソンは一人でも多くの見込み客とお話をすることを重んじる余り、お客様の発するシグナルに気づかぬふりをしていたりすることもあるかもしれません。セールスパーソンの私達は、見たいものを見て、聞きたいことだけを限定的に聞いていたり、解釈したいように解釈する傾向にあるといわれています。

 

セールスの私達の現状は、ちょっと「心もとないセールスファネル」と「間近に迫る期日」との間に緊張感でいっぱいの日々。お客様とのミーティングの約束がないよりは、約束を取り付けた方がいいと思っています。セールスパーソンの中に、そのミーティングにより奇跡的に販売にこぎつけられるかもしれない。という淡い期待が存在しているのです。事前にお客様についてもう少し知ってさえおけば、そしてお客様が発するサインを事前にしっかりと見逃がさずにキャッチしておけば、お互いの時間を他の事に有効に使うことができていたかもしれません。実際は、可能性を少しでも多く持ちたいという希望から、とりあえずは見込み客とのミーティングを持ち、販売にこぎつけないかもしれない心配は後まわしにしていたりします。

 

トライ&エラーまたはトライ&ラーンという言葉もあるように、様々な可能性に賭ける事はチャレンジ精神を醸成する意味では、とても素晴らしいセールスパーソンの心構えとも言えます。もちろん、お互いに時間がたっぷりあるという場合は、沢山の方々とお話するのも良いと思います。お互いに何らかの学びがあり、共鳴することもあります。

 

実際は、現代のビジネスパーソンは皆様お忙しいのが現状です。お互いの「限られた時間」という財産を大切にするという意味でも、実際にお取引に至る方の為に時間を丁寧に使えたら良いという願いもあります。そういう意味では、真摯に相手に関心を持ち、質問をして、その大切なお客様を見極めることも大切です。

 

大切にすべきお客様に出会った後にも、たまには探偵泣かせのお客様もいらっしゃると思います。つまり情報を引き出すことがなかなかできないお客様にはどのように対応すればよいでしょうか?

 

それでは、お客様から真実を導き出す方法について見ていきましょう。探偵泣かせのお客様にはどう対応しましょうか。

信頼を築くために、自社の事業内容や他の企業への実績を伝え、このお客様に対してできそうなことも提案します。そのうえで、謙虚なトーンで「もしかしたらお客様に対しても同じことができるかもしれません。」と伝えます。そして「それが可能かどうか知るために、いくつか質問させていただいてよろしいでしょうか?」と加えます。つまり、質問をする許可をもらうのです。

 

もちろん、許可をもらったとしても、お客様がお話してくださるのは氷山のほんの一角の、そのまた一角にすぎない可能性もあります。セールスパーソンに自らの全体像を明かしてくださるお客様は多くはないのです。私達が耳にするのは全体像ではなく、ほんの一部であることがほとんどです。ということは、この時点では私達がお客様の問題をきちんと把握したと思うには気が早いということなのです。この辺りで私達は早々に「お客様のお役に立ちたい」モードに突入して相手が口にした問題に対して解決策を考えようという誘惑にかられます。お客様との約束を早く取り付けようと意気込んでいるときは特にそうかもしれません。

 

どうすれば良いかというと、お客様の為を想い、関心を持って、十分に深掘りし、お客様の話を念入りに確認してから行動を起こすのです。そのためには、お客様からの情報についてフォローアップの質問をします。お客様が口にしたいくつかの課題点をまとめて、どの課題解決の優先順位が高いかお客様に説明してもらうのがよいでしょう。これは、デール・カーネギーが言う、相手にその意見を自分のものと思わせ大切にしてもらうという効果もあります。お客様にとって大切な課題解決にこそ私達の力を注ぐべきなのです。

 

そのためには、お客様が納得し、安心してセールスパーソンに情報を開示してくれるようになることが鍵です。つまり、セールスの場においてもサイコロジカル・セーフティー、心理的安全性が大切ということなのです。私達がお客様のお役に立てるようになるためには、お客様との信頼構築に丁寧に時間を割くことが重要なのです。高い信頼を築ければ、お客様の心を開き、お客様が実際に直面している問題や解決したい課題、心の声までもお聴きすることができようになるのです。

 

私達が目指すのは、お客様との生涯にわたるパートナーシップを築く事です。お客様とは一度限りのお付き合いではなく、いつも声をかけてもらい、相談をしていただけるような関係性です。お客様は安心安全な環境で自分でも気づいていないような心の声を明らかにしてくれたセールスパーソンといつまでもお付き合いしたいと思ってくれるのです。そのために、大切なお客様の為に時間をかけて信頼を築き、真摯に真実を導き、見極めたい!という情熱を持つことが大切ということです。

 

そう、セールスのお仕事はお客様の心を開き、真実を導く、心優しい正義の味方!なのです。

 

Dr. Greg Story

President of Dale Carnegie Tokyo Japan

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