リーダーシップ

チームメンバーの責任感を育てる真心の権限委譲

ソート・リーダーシップ・シリーズ ビジネス達人 #22 (リーダーシップ)

チームメンバーに責任感を持たせることは
リーダーとして必要なスキルの1つです。
リーダーとして私たちはどのように尽力すべきでしょうか。

 

相手に変わってもらいたいなら、まずはリーダーである私たち自身が変わることから始める必要があります。私たちが持っている貴重なリソースの一つは、「時間とその活用法」と言えます。リーダー自身のタイムマネジメントが上手であれば、自分自身の生活とチームメンバーの生活のクオリティが向上します。そうすると、チームメンバーに無理な仕事の期限を設定したりせずに済みます。そして、チームメンバーのストレスも減り、チーム全体にも良いエネルギーが満ちていきます。そうすると今まで不可能だったことが可能になるというサイクルが起こり始めます。リーダーの精神状態は瞬時に周りに影響し、チームの雰囲気をあっという間に明るくしたり、暗くしたりする。というのは、私たち自身、経験済みの事だと思います。

 

リーダーのタイムマネジメントについては、こちらの「ビジネス達人の教え」のポッドキャストエピソード19でもお話しさせていただきました。リーダーの私たち自身、自らが走り回って、多くのことを引き受けすぎてはいませんか。組織のリーダーの方々とお話をすると、皆様このように、おっしゃいます。「こんなに忙しいのは、チームメンバーに正しい権限委譲がきていないからかもしれません。いざ、任せてみたらミスや問題があって、やり直しする羽目になったのです。それなので、結局、自分でやった方が早いというような悪循環です。」また、「もう一人自分が欲しい」という言葉も良くお聴きします。そして、このポッドキャストをお聴きの皆様も、これらの声を聞き、大きくうなずいていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。本当にどうしたらよいのでしょうか・・・。もう一人の自分を作ることは現実的ではなさそうです。自分のチームを育て、チームの能力を最大限に引き出すことができれば、自分はリーダーとして本来しなければならない事に時間を費やす事ができるのです。また、権限委譲は後継者を育成するための重要なステップです。リーダーの仕事を任せる事で他者を育てるという真のリーダーとしての道を歩み始めることができるのです。

 

権限委譲はうまく行かないと思ってしまう理由はなんでしょうか。正しいプロセスで権限委譲を行えば、チームメンバーが責任をもって、任務を遂行してくれるようになるのです。大切なスキルとして、チームメンバーのコーチングを伴った権限委譲を行っているでしょうか。チームメンバーの関心をしっかり把握し、その興味関心やゴール達成に向かうために、ふさわしい動機付けができているか、成長をサポートできているかを振り返ってみてみましょう。コーチングと指令を与える事の違いを常に心に留めていますか?チームメンバーの責任感は、リーダーがコーチングに投資する時間と労力に密接に関係しているのです。

 

これまでより高い成果を望む場合、1)何か新しいことに挑戦するか、2)従来どおりでも少しやり方を変えて行う事が必要になります。これは私たちが潜在的に敵対視している「変化」を意味します。それなので、チームメンバーはこのような「変化」に対して抵抗するかもしれません。私たちは自分たちのコンフォート・ゾーン(すなわち居心地の良い領域)から抜け出したくないために抵抗してしまうものです。チームメンバーに更に上を目指してもらうために、リーダーが適切なコーチング、権限委譲をし、結果に対して責任を持ってもらえるようにサポートしていきましょう。彼らも最初はつまずくかもしれませんが、それでも自分を信じて任せてくれているリーダーの期待に応えたい!と、モチベーションを上げる事でしょう。そうなると、私たちリーダーは、エキスパートを育成している立場になり、チームメンバーの方からは感謝すらされている日が来るのです。もしかすると、それは5年後10年後かもしれません。チームメンバーの方が後々私たちのことを思い出し、「あの時、自分を信頼して、期待をかけてくれた方がいるから今の自分がいる。」なんてしみじみ思ってもらえたらリーダー冥利につきると思います。

 

ご安心ください。権限委譲とはチームメンバーに仕事を押しつけることではありません。「皆も忙しいので、これくらいは自分で行おう。」と潜在意識で思っていませんか。何を、どのように、なぜ行うのかについて伝えるには時間がかかるものですが、その時間をしっかりと捻出しましょう。メン
バーにオーナーシップを持ってもらい、メンバーがその仕事をマスターすることがより大きな成長につながる布石となるということを理解していただくのです。そのことにより、メンバーにもその仕事を大切に想い、仕事に対する責任感が生まれます。その結果、メンバーのパフォーマンスが向上するのです。「相手にその意見を自分のものと思っていただく。」そこに到達できるまで、リーダーの私たちは、コーチングし続けることになりますが、このことによって、失うものは本来は何もないと信じたいです。全ては投資です。遠回りのように感じるかもしれませんが、私たちに帰ってくる利益の方が大きいのです。これは、まさに、デールカーネギーが言うブーメランの法則です。努力の成果は必ず自分に何らかの形で戻ってくるのです。

 

以前、同僚と、「もしかすると「権限委譲」という言葉自体が違う言葉だったらもっとしっくりくるのではないか。」と話し合った事があります。「メンバーを信じて任せて育てる」それが権限委譲だとすれば遠回りでもリーダーとして権限委譲自体が自身の重要なタスクの一つとして捉えられるのではないでしょうか。ぜひ、皆様にも、適切な「権限委譲」に相当する言葉を考えて頂けたら嬉しいです。日本のリーダーがスッとするネーミングを思いついたらぜひ教えていただきたいと思います。

 

チームに責任感を生み出すには、リーダーである私たち自身の考え方を変えることから始めましょう。チームに成長を促し、自らが行動を起しましょう!リーダーの私たちは、チームメンバーを信じて、キャリアを伸ばす機会をサポートする大業を成し遂げようとしているのです。そのことにより、組織にも良い影響が齎されるのです。
ゴールデンウィーク明けのこのタイミング、私たち一人ひとりが、意を新にし、意図的に自分と周りを信頼することを実践しましょう。

 

そう、チームメンバーの責任感を育てる真心の権限委譲とは、「メンバーを信じて任せる」というリーダーとしての器を広げるということなのです!

 

Dr. Greg Story

President of Dale Carnegie Tokyo Japan

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