上司は成果を祝うべし
プロジェクトが完了した直後ではなく、完了する前から部下を褒め、認める
あなたは私のように仕事中毒ですか?頭の中は、仕事を終わらせること、結果を達成することでいっぱいですか?忙しすぎて翌日が祝日であったことを忘れ、突然、なぜミーティングがないのかと不思議がり、しばらくして「あぁ、そうか、明日は祝日だった!」と思い出したりしていませんか?私はこれを何度もやらかしています。実際、日本に来てから 1 週間に祝日が何日かあるゴールデン・ウィークを経験するようになり、ゴールデン・ウィークの計画は?などと、誰かに尋ねられると困ったりしていました。そんなこと考えてもいなかったからです。
あなたは何かに成功しても、そのことについてそれほど考えたりしていませんね。きっと、頭の中ではもうすでに次の山を登ろうとしているからではないですか?立ち止まってバラの香りを楽しむことなどせず、ずっと走り続けるのですか?息をするために泳ぎ続けなければならない鮫のように、歯を食いしばって、常に前進し続けるのですか?成功しても一時の勝ちにすぎないと心配し、勝利に浸っている暇はなく気を緩めずに常に次の戦いに備えていなければならないと、成功を喜ぶことをあなた自身、否定してはいませんか?自分に厳しすぎてはいませんか?
あなた自身はそれでもよいかもしれませんが、チーム・メンバーにとっては必ずしもそれでよいわけではありません。ここが、リーダーのあなたのニーズを基に物事を進めようとすることが危険である点なのですが、そもそもあなたのニーズというものはほとんど存在していません。なぜならあなたは自分自身満足していて、意欲を持っている人だからです。称賛されることに価値を見出さず、褒め言葉はお世辞ではないのかと疑ってしまいます。常に動き続ける人で、休んだり、一度止まって振り返ったりすることなどできません。でも、これが危険である点は、あなたはむっつりして笑わず、真面目で、一緒にいても楽しくない人になってしまうことです。「友だちが欲しかったら犬でも飼え」などという馬鹿げたことを言ってしまいます。
でも、他の人たちはみんなあなたのようにはできておらず、勝利を祝う必要があるのだということを理解する必要があります。「ビジネスの魔法円」から抜け出ることは誰しも勇気がいることです。この場合の魔法円とは、つまりコンフォート・ゾーンのことで、その中にいれば私たちは完全に心地よく有能な人でいることができます。幅広い経験を持っているため、仕事を優先順に上手にこなしていくことができます。私たちには信頼性があり、どうやってやったらよいか分かっているので、やらなければならない仕事を終えることができると他人から信用されます。
でも、常に仕事の生産効率を上げるためには、私たちは部下に新しい方法でやったり、新しいことに取り組んだりさせる必要があります。同じことを同じ方法でし続ければ、当然、期待する結果も同じです。いずれにしても、新しいことや新しい方法で行うということは、コンフォート・ゾーンを抜け出し、何か違うことをすることを意味します。
日本では、これは非常に難しいことです。ここでは間違いを犯すことに対する恐怖心は根強いです。日本では、オーストラリア人のように、そこそこ近ければそれで十分という、「気にしない!大丈夫だ!」なんていう態度はありません。これは、なんでもかんでも物事には正しいやり方があるという、型重視、ずばり完璧主義者の土地だからです。日本では、間違いを犯すということはひんしゅくを買うことです。こういったいろいろな文化的な嗜好があるため、私たちは魔法円から抜け出て、このような不確実ではっきりと先が見えない道を歩んでいくことを支援する必要があります。完全に大勝利が収められるまで、祝うことなど考えないというのではいけません。小さな勝利を祝って、部下が新しい領域に入り、未踏の道を歩み、新しいことに挑戦するリスクを負い続けることを励まさなければならないのです。誰しも良い仕事だと認められたら、前に進み続けることができるものです。上司は、プロジェクトが完了した直後ではなく、完了する前から部下を褒め、認めることを覚えておかなければなりません。でも、私たちはビジネスでそのように育っていないので、これは決して簡単ではありません。
勝利を祝うには、何らかの計画が必要です。私とは違って、パーティ・タイプでないのなら、代わりに誰か他の人にパーティを仕切ってもらいましょう。そして、祝う理由を見つけましょう。オフィスの外に出て、食事会や飲み会をしたりしてチーム・スピリットを築くというのはどうでしょう。私はその昔、パーティをするかしないかは私次第となると、実際には何も起こることはないということに気づき、それ以来、必ず私次第にならないように、他の人に計画と実施を任せるようにしています。私の仕事はその場に現れて、成功を認め、励ます言葉を言うだけです。そして、これは私の得意分野です。リーダーのあなたも同じことをしてはどうでしょう。
部下に報奨を与えるといっても、1 つの方法ですべてオーケーというわけにはいきません。自分が良いだろうと思うものではなく、部下が好きなことを知って、それを与えるのです。私が良いと思うものは、たいていもっと仕事をすることです。先に話したように、自分と似ている人や、自分と同じようになりたいと思う人はほとんどいないということを、上司として理解する必要があるのです。また、ある 1 人の人にとって報奨として興味深いものであっても、他の人たちにとってはそうでないこともあります。
休暇を取る、上司が昼食を奢る、入場券をもらったら家族を遊園地に連れて行ける、など、といったものを好む人もいるかもしれません。日本では、個人が優れた仕事について他の全員の前で褒められるのを好むことは稀です。たいていの場合、恥ずかしいと感じたり、和を重んじる文化にいて注目を浴びるということは多くの危険があるので恐怖に感じたりします。全員それぞれ違うので、リーダーとしてはそれぞれ何を欲しているのかを認識する必要があるのです。ではどうやってやったらよいのでしょう。まず、彼らに聞くことから始め、そして勝利を祝うときにそれを実行に移すのです。
上司がチーム・メンバーと上手にコミュニケーションがとれたら、その人にやる気を与えられるような報奨を考えつくことができることでしょう。それが分かったら、彼らをコンフォート・ゾーンから抜け出し、新しいことに挑戦し、ビジネスを発展させるように励ます方法が分かります。あなた自身はやる気を出すために他人から何かをもらう必要など一切なくても、他の多くの人たちはそうではないため、大多数の人が必要とすることを知り、それを与えるようにすることが大切なのです。