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ユニークなお客様を相手にする際の5つのヒント

ソート・リーダーシップ・シリーズ ビジネスプロ #29 (セールス)

我々はビジネスプロフェッショナルとして、日々様々なお客様のご対応をさせていただいています。その中には、気難しい方やお怒りの方、癖のある方などユニークなお客様をご相手させていただくこともあるかと思います。では、その際、どういった点を意識すればよいのでしょうか。

 

顧客サービス部門でお勤めになられたことのある方であれば一度はご経験があるかとは思いますが、ご立腹されているお客様へのご対応は、難しい仕事の一つです。とはいえ、そのお客様の立場で考えれば、発生した問題を解決するために一日のうちの貴重な時間を割いて誰とも知らない相手に電話しなければならなくなっているわけですから、イライラしてしまう気持ちが全く分からないという方は少ないのではないかと思います。大前提としてまず我々がしなければならないのは、上っ面でなく誠実な共感をすることです。 そのうえで、我々がはたしてお客様にとって話しづらい相手になっていないことに注意を払ってください。お客様は解決しなければならない事態に対して苛立っているのであって、なにも我々個人に対して攻撃をすることを目的としているのではないということを常に忘れないでください。この大前提を踏まえたうえで、お客様が抱えられる問題の処理に的確に務め、お客様が満足して会話を終えられることに尽力しましょう。その為の効果的な5つのヒントを見てみましょう。

 

最初のヒントは『平静を保ちましょう』です。お客様が連絡を取られたのは、起きている何かしらの問題を解決する必要があったからで、その問題のせいで時には苛立ちをおさえられずにいることもあるでしょう。こういった場合、冷静にその問題を解決することに集中することが大切です。お客様の口調や表現によっては我々個人に対して腹を立てているように聞こえることもあるでしょう。『お前は』といった固有的表現をされる方と話す場合、この感覚はひとしお強くなるでしょう。そんな時、決して、我々個人に対して話しているのだと受け取らないでください。あくまでお客様は直面しているジレンマにイライラして、その解決法や感情のはけ口を探しているのです。決して感情的に捉えないように心がけてください。誠実に相手の問題の出どころを把握し、しっかりと自分の力の限りを尽くしてその問題解決に努めましょう。『個人に対して話しているのではない』と目に見える場所に紙に書いて貼っておくのもひとつの手です。

 

2つ目のヒントは『お客様の観点から物事を見ましょう』です。相手の立場に立ってどのように感じているのかを想像してみましょう。イライラ、混乱、怒りは、問題が解決していないお客様が抱いていらっしゃる共通の感情です。その思いに共感しましょう。誠実な共感をする為には、問題が何なのかを把握する必要があります。根本の問題が同じでも、それに対して作業が止まっていることに対するイライラなのか、不良品をつかまされたと思って不安になっているイライラなのか、それにより自分が周りに迷惑をかけてしまっていると思われていることからくるイライラなのか、人によってイライラの出どころが全く違うはずです。その一人一人違う出どころに対して共感をしなければ、果たして誠実に『その方に』共感していると言えるでしょうか。相手に耳を傾けて問題の本質を知り、またその問題がお客様にどのように影響を及ぼしているのかを正しく把握しましょう。更に、相手が我々の誠実さを感じ取りやすいよう、場を和らげる口調や言葉遣いを使う意識も大切です。キーワードは、『誠実であること』なのです。誠実の表現方法は人それぞれですが、その根本さえしっかりとしていれば、相手の気持ちをコントロールしようとする『共感のフリ』はしないでしょう。お客様は馬鹿ではないです、『フリ』は見抜かれます。そうなってくれば、怒りの矛先は商品問題から我々の対応問題になり、個人に対する話に切り替わります。

 

3つ目のヒントは『お客様の名前を使いましょう』です。デール・カーネギーの名言に「名前は当人にとって、最も快い、大切な響きを持つ言葉であることを忘れない」というものがあります。お客様とのやり取りの中で相手の名前を繰り返し呼ぶことで、不特定多数ではなく『あなた』に共感していますよということが伝わりやすくなります。ただし、やり過ぎには注意しましょう。やり過ぎればわざとらしくきこえて、HowTo交渉マニュアルから抜粋した対応方法をあてがわれていると相手は感じるでしょう。それこそ、この人は不特定多数に対しての対応をしようとしていて、私の気持ちを尊重する気がない!という印象を与えてしまいます。

 

4つ目のヒントは『自分のこととして扱いましょう』です。相手をたらい回しにするなどもってのほかです。自分のところにきた顧客サービスの問題については責任を持ち、対応範囲内である限り最後まで向き合いましょう。喜んで問題の解決にあたるという姿勢を見せましょう。そして、お客様にあなたの真摯さを感じてもらいましょう。そのうえで、返答には確固たる姿勢で臨みましょう。相手を言い負かそうという自信ではありません。安心を感じてもらうための自信です。ご想像してみてください。助けを求めた相手がおどおどしていれば、どう感じられますか?自信のある態度で臨み、問題を解決する能力が十分あることを示しましょう。もし対応範囲外の場合、その問題を上司のマネジャーあるいは他の部門に上げる必要がある旨を伝え、この問題が速やかに解決されるということが組織にとって大切な問題であることを強調し、引継ぎ先も含め組織全体が真摯な姿勢でいることを示しましょう。

 

最後のヒントは『自分自身であってください』です。機械的対応を完全に否定するわけではありませんが、聞き手はどう感じるでしょうか。『この人は冷静だ』ととられる方も中にはいらっしゃるかもしれません。ただ、多くの方は『この人は私の気持ちをくみ取ろうとしているのではなく、山のように来るさばかなければいけない文句の電話のうちのひとつとして私の話を捉えている。』と感じられるでしょう。なかには、やっつけで対応している失礼なやつ、ととらえられる方もいらっしゃるでしょう。そんなのもったいないじゃないですか。あなたを出してください。人間味と一緒に問題を解決したいという思いを持つ同じサイドの想いなのだ、ということを示してください。お客様と信頼関係を築き、力添えをしている間にもお客様に安心感を届けることができるのです。

 

Dr. Greg Story

President of Dale Carnegie Tokyo Japan

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