反対意見を効果的に述べるための5つのヒント
職場において、何らかの段階で意見の相違が生じることは避けられません。権力闘争、政治的な駆け引き、派閥、縦割り主義など組織をめぐる対立の原因は枚挙に暇がありません。我々の誰もが知っているように、意見の相違がたちまち激化して、事態を外交的に処理するために自分の意見や先入観を抑えることが困難になる場合があります。モチベーションが高い人ほど自尊心も高いことが多く、対立が生じるとチームワークが損なわれることがあります。協調姿勢は組織が育んだ文化の産物であり、絶えず働きかけて強化することが必要です。「勝者が一人勝ち」し敗者が打ち負かされるような、意思と自尊心の戦いである必要はありません。同僚に対して「反対意見を効果的に述べる」こと、またチームワークを保ちながら問題に対処するのに効果的である確立された方法があります。自分の考えを表明しつつ、相手の気分を害さずに反対意見を述べる方法をご紹介します。
1. 善意に解釈する。
誰かに対して反対意見があるとしても、結論を急ぐことは禁物です。相手の意見を最後まで聞けば、最初に思ったよりも相手との共通点が多いことに気づくかもしれません。完璧な人間はいませんし、ある問題について想定されるすべての情報やすべてのアングルが揃っているわけでもありません。自分の考えを擁護することに集中する代わりに、頂上までのルートはいくつもあるとオープンに考えることからスタートしましょう。
2. 学び理解するために耳を傾ける。
熱心に耳を傾け、聞くふりをするのではなく、相手の身になって耳を傾けてください。相手の視点についてすべての事実を集めれば、あなたの立場を外交的に伝えることができます。我々は相手の話を横取りしたり、相手が話しているのに自分の意見を押し付けたりと、平気で他人の話を遮ります。口出ししたくてうずうずしていると、話を聞くことがおろそかになります。自分の頭の中の会話に心を奪われると、相手の発言のポイントは事実上かき消されてしまいます。
3. クッションを使う。
相手の意見を認め、親身になって耳を傾けることで相手に感情移入します。「おっしゃることはわかります。あなたがおっしゃっていることは重要です」や「あなたの考え方は理解できます」などのクッションを使い、あなたが相手の感情を認め配慮していることを伝えましょう。相手が発言し終わるのを待ってから反応することが大事です。耐え難い場合もあるかもしれませんが、ぐっとこらえてください。その後、クッションを使うことにより自分の意見を言う前に考える時間を作ります。たいていの場合は、開口一番の回答は、熟考を重ねた最高の返答ではありませんし、時には感情的にもなりがちです。ぜひクッションを使って返答しましょう。全く異なる結果を得られるはずです。
4. 「でも」や「しかしながら」は禁物です。
あなたがどれだけ相手の身になったとしても、クッションの次に「でも」や「しかしながら」などの言葉を用いれば、それまでの苦労は水の泡です。あなたへの信頼は失われ、あなたが反論している相手は、そこからはあなたの考えを真面目に聞いてくれなくなるでしょう。人間は皆、相手が自分の意見に同意しているかどうかを示すボディランゲージを鷹のように鋭く探す習性があります。ですから、無意識のうちに否定的な感情を醸し出すことがないようにしなくてはいけません。人間はまた、口論になるかどうかを示すキーワードに注目する習性があるため、「でも」などの言葉を耳にすると、頭の中に危険信号が灯ります。当初の発言と食い違う言葉の代わりに、「そして」などの言葉を使ったり、また間を取るようにしてください。
5. 意見を述べる際に事実を添える。
意見に反論することは簡単ですが、事実に異議を唱えることは困難です。自分の見解に対して証拠を提出することで、あなたの信頼は高まり意見がかみ合わない場合でも一目置かれます。事実を活用することで、あなたの考えに同調する人が出てくるかもしれません。事実をさりげなく持ち込むことは賢い動きでもあります。相手を打ちのめすために事実を使うのではなく、「私は全ての事実を把握できているわけではありませんが、このような事実があったことは確認できています。このことは、あなたの経験にどう当てはまりますか?」などといった論点を持ち出しましょう。大切なことは、面目を失ったり、困惑させられたり、恥をかかされたり、侮辱されたいと思う人はいないということを常に肝に銘じておきます。相手に事実を突き付ければ、あなたが正しいことが証明されて気分はよいかもしれませんが、メッセージが変な形で伝われば、一生の敵を作ることになりかねません。