離職を減らし、従業員エンゲージメントを生み出すための4つの方法

従業員の維持と長期雇用

この変化し続けるビジネス環境において、従業員の維持と長期雇用形態は、以前とは異なってきています。その証拠に、今日の米国の労働人口のうちの多数が2年ごとに転職しているという事実があります。若い世代の場合、キャリアの最初の10年間で8回も仕事を変えている人もたくさんいます。日本は労働流動性のレベルにはまだ達していませんが、徐々に変化が見られます。日本では社会の高齢化に伴い、若い労働力の供給が減少しているため、今後良質な従業員を維持するための競争は激しくなっていくことでしょう。 これには従業員エンゲージメントが鍵となります。Towers Perrin社が19か国、9万人近くを対象に行ったある最近の調査では、エンゲージしている従業員の約50%が現在の職場を離れる予定はないと答えていることが明らかになっています。

 

プロフェッショナルの多くは、仕事の経験をさらに積んでいくために転職を考えています。優秀な才能を育む上で、従業員がエンゲージし続けるようにし、忠誠心が高まるようにするために会社が行うべきいくつかのステップを紹介します。仕事の満足感は永遠の課題です。現在の競争的なビジネス環境では、会社は従業員に対し、現在の職で成長する機会と様々な分野での仕事を経験する機会を提供する必要があります。日本の多国籍企業では、日本企業で行われているジョブ・ローテーション・システムは行われないため、フラット組織で広範な経験を積む機会をいかにして提供できるかを考える必要があります。

 

また、誠意をもって感謝の意を示し、達成に対して報酬を与え、アイデアを奨励することで彼らの「心を掴み」、会社のイニシアチブに貢献しようとする意欲を持たせることができます。このような会社とのつながり作りが従業員の間でコミットメントの意識を生み、その結果、従業員が転職を希望する可能性が低くなります。従業員エンゲージメントおよび優秀な人材育成に焦点を当てたプログラムを作る際、次の点を考慮してみてください。

 

1. 従業員が高度なスキルを身につけられるようにサポートしましょう。

優秀な人材がプロジェクトや戦略的イニシアチブをサポートするために雇われますが、彼らにとって、プロジェクトの注目度が低くなってきた、または学習曲線が緩くなってきたと感じた途端に、プロジェクトあるいは部署、ひいては組織を離れることを考え始めます。従業員が技術的な能力と転換可能なスキル(コミュニケーション、自信、リーダーシップおよび対人スキル)の両方を身につけるのをサポートすることにより、組織は従業員の人材育成に関心があるということを示すことができます。より全体的な従業員育成のアプローチを選択することが、従業員エンゲージメントにおいて最初の重要な一歩となります。特に若い従業員の場合は組織に入ってから大体3~4年後に離職する傾向があるため、この点をよく考慮すると良いでしょう。

 

2.  従業員が転機を迎える準備を助け、その移行期間を支援しましょう。

人は人生とキャリアの両方で転機に直面するものです。新しく仕事を始めたり、新しい役職に就いたり、新しい土地に引っ越したりするといった移行は、常に従業員にとって精神的な負担となります。従業員が仕事や役職を移行する際、準備を助け、移行中も絶えずサポートし、さらに新しい環境で成功した際はそれを認めることで、組織は従業員とのつながりを作ることができ、彼らのチーム・エンゲージメントを高め、他のメンバーが移行する際に快く助けようという意識を育むことができます。これは複雑である必要はありません。単に、アドバイスを求める先があるということを彼らに知らせることが重要なのです。しかし、彼らの方が気後れしてしまうこともあるため、マネージャーが積極的に率先して支援の意思を伝えると効果的です。

 

3.  従業員にオーナーシップの意識を持たせるようにしましょう。

昔から言われる「自分自身のものとして考えるように」とは良く言ったものですが、難しいのはこの格言を実行に移すことです。計画、活動および詳細がいずれも指令として与えられるような環境では、オーナーシップの意識を生み出すのは困難です。従業員が計画、活動および結果についてアイデアを貢献するように、マネージャーは積極的に従業員とエンゲージする方法を見つける必要があります。私たちは皆「自分の世界は自分たちが作っていく」のだということを忘れないでください。従業員が成功の報酬を共有することが増え、また、失敗を学習や成長の機会に変える上でサポートが受けられれば受けられるほど、プロジェクトに対するオーナーシップの意識が生まれ、一定して成果を得るために完全にエンゲージするようになります。

 

4. 従業員に、今の努力が将来の機会につながるということを実感させるようにしましょう。

従業員は、自分の仕事が互いに関連性のない活動の連続にすぎないと感じると、すぐにより意味のある仕事が存在する機会を求め始めます。彼らが大して重要でなさそうな仕事に従事しているのを見かけたら、マネージャーはその仕事がプロセスの中でまだ重要であるかどうかを見直すか、あるいは彼らに対してその仕事が、組織の戦略面でポジティブな結果を生むのに役立つことを明確に説明する必要があります。彼らの仕事と組織レベルのイニシアチブとの関連性について明確な視点を従業員に与えることにより、確実に従業員エンゲージメントを高め、優秀な人材を維持することができるようになります。私たちはたいてい従業員に指示を与えることは得意で、さらに時には方法を示すこともできます。しかし、残念ながら日常の煩雑さに追われ、理由を伝えることを忘れてしまいがちです。実は、従業員をイニシアチブに参加させるためには後者の方が重要です。どんなに忙しくても忘れないように心がけましょう。

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