「自分の声」に自信を持つ方法
ソート・リーダーシップ・シリーズ ビジネス達人 #24 (プレゼンテーション)
自分の印象をさらに良くするために、服装や髪型を整えたり、ダイエットなどをして見た目を変える人は珍しくありません。また立ち方や歩き方を美しくしようと、見た目に気を配っている人も多いです。しかし、持って生まれた「声」や「話し方」を変えることを意識している人はどのくらいいるでしょうか?ビジネスパーソンで、ボイス・トレーニングやプレゼンテーショントレーニングを受けたことがある人はいますか?
ビジネスの世界では、ほとんどの人がスピーチ、プレゼンテーションをする機会があると思います。また、スピーチやプレゼンという大げさなものでなくても、採用面接や接客の場面で、クライアントとのミーティングで「声」を使って自分を表現する機会は毎日のようにあります。ビジネスパーソンとして昇進し、ポジションが上がっていくと、社内ミーティングでレポートをしたり、プロジェクト・チーム内で情報共有したり、大きな案件のセールスプレゼンの機会が増えます。また、そのチャンスは社内だけにはとどまらず、社外の大勢の人々の前で話す機会も増えます。今では、ポッドキャストやYouTubeなど、音声や動画で様々な発信をするという事も多くなり、「声」「話し方」に自信を持ちたいと思う人が増えてきているようです。
私たちは、多くの人の前で話すときには「声」「話し方」を意識するかもしれません。声は精密にプログラムされていて私達の全てを表現してくれます。当然ですが、はっきり話すと自信があるように聴こえますし、早く話すと自信が無いように聴こえたり、独りよがりに聞こえたりします。どんな人の話が信頼でき説得力があるかを考えてみてください。カリスマ性のあるリーダーは、決して早口で小声で話すことはありません。
ビジネス・パーソンに個別コーチングをしたことがあります。その人はSNSやYouTubeなどの動画で声を使って発信する機会があります。セッションの中の練習で、その人は自社の製品と歴史について、3分間、全く原稿も見ないで、言葉に詰まる事もなく話しました。その人から紡ぎだされる言葉は、まるでアートのように美しく、うっとりするような表現で埋め尽くされた宝石箱のようでした。その人は、常に表現方法や言葉について学んでいると言っていました。私は、さらに聴き手をひきこむために、簡単な3つの点を意識してもらうようコーチングしてみました。そうすると、その人の話は劇的にカラフルになり、美しい彩と輝きが増し、感動が私の心に届いたのでした。
「声や話し方」について次の3つの点を意識すると、さらに聴き手を魅了する話し方になります。
聴いている私達が話し手の美しい言葉を、心地よいペースで頭の中で映像として描く事ができ、臨場感が加わり、さらに引き込まれていく方法です。この3つの点を意識すると、聴き手との繋がりが生まれ、さらに自信があるように見えるようになりました。
その3点とは、
1)声の抑揚と強弱をつける
2)間を効果的に使う
3)盛り込みたいメッセージを絞る
上記の3つのポイントは、聴けば簡単に思えるかもしれませんが、実際に実践しているプレゼンターにお目にかかることは非常に少ないです。本当に簡単に実践できる方法があります。実際は、とてもシンプルな事なのです。これらの3つのポイントを簡単に実践する方法とは、心から話す事!なのです。
良く発声をするときに、お腹から声を出すと良いと言われますが、さらに言うと、お腹の辺りに心がある事をイメージして「心から声を出す」を実践してみてください。また、マイクを使うときは、マイクに頼らず、はっきりと大きい声で話すことを前提に、マイクのボリュームを調整します。そうすることにより声にエネルギーが乗り、しっかりと声が通り、メッセージが伝わるのです。お腹からではなく、「心」から声を出すので、抑揚、強弱をつけ、間を取って「ここは大切!!!!」というところを強調したりすることが、自然にできるのです。そうすると、その声は自分にとっても相手にとっても、心地よい響きを奏でることができます。
あなたは、「えーー」とか「あのーー」とつい言ってしまう事はありませんか。そういう時は、2点目の、間を恐れずに効果的に使うを実践しましょう。「えーーー。」と言いたくなったら、意識的に「間」をとり、聴き手の目をじっと見ます。実際にスピードを落とし、間をとった方が、より説得力が増し、自信があり、情熱を持ったプレゼンターという印象を持たれる事になるのです。
「自分の声に自信がないのです」「自分の声が好きになれません」という相談も良く聞きます。「声」や「話し方」は生まれた時からずっと自分の耳で聴いている美しい響きです。服やアクセサリーのようにトレンドによって買い替えたりする必要もなく、意識次第で印象をだいぶ変えることができます。しかも意識するだけなのでお金はかかりません。どんな声も、世界に一つの奇跡の響きなのです。心から楽しそうに話している人の声は心地よく、聴きいってしまうものです。
自分の声は、形に見えないものですが、自分のかけがえのない財産として、しっかりと認識していきましょう。ジョン・レノンでさえも、エルビス・プレスリーの声に憧れていたそうです。自分の声がコンプレックスだったのです。自分の声が、他者にどのように聞こえるか、気にしなくても大丈夫なのです。心から楽しく熱意と情熱を持った声は、必ず心地よい響きとして他者の耳に届きます。
私たちの声は、世界に一つだけの美しい響きを奏でているのです。
素晴らしい財産として感謝しましょう。そうすれば、自分の声、話し方に自信を持つ事ができます。
Dr. Greg Story
President of Dale Carnegie Tokyo Japan
ダウンロードする